昨年10月に、日経ソフトウエア編集長を拝命しました。プログラミングの世界に足を踏み入れてまず感じたことは、“誰でもプログラミングができる”環境が整っているのだということです。そして、作ったプログラムを利用する場所も、パソコン、スマートフォン、タブレット、クラウド、と多岐にわたります。誰もが自分なりのプログラムを作り、いつでもどこでも使える状況が、既に出来上がっています。

 例えば、Androidのスマートフォンやタブレットを使っている人は多いでしょう。さまざまなアプリをダウンロードして使えますが、「こんなアプリがあればいいのに」と思うことは少なくありません。そんなとき、無料で入手できる開発環境「Android SDK」を使えば、オリジナルのAndroidアプリを誰でも作ることができます。開発マシンはWindowsやMac、LinuxでOKです。さらに、25ドル払って開発者登録をすれば、作ったアプリを「Google Play」で公開することも可能です。

 iOS向けのアプリは、やはり無料の統合開発環境「Xcode」で作ることができます。こちらはMacが必要なのと、iPhoneなどの実機で動かすには年間8400円を支払って「iOS Developer Program」に登録する必要がありますが、ひと昔前のように数十万円もする統合開発環境がなければソフトを作れない時代に比べれば、ハードルは低いものです。

 Microsoftの統合開発環境「Visual Studio」についても、機能を絞った無料版「Express」が提供されていて、Windows用のデスクトップアプリやWindows 8/8.1用のアプリを開発できます。これからプログラミングを始めてみたい、という人にとっては、無料で始められる選択肢が数多くあるということです。

 開発環境だけでなく、プログラムの中で使う“素材”も手軽に入手できるようにする動きがあります。例えば、3Dゲームなどの開発環境として利用が広がっている「Unity」には、「アセットストア」と呼ぶ3Dモデルのオンラインストアが用意されています。そこでは、世界中の開発者が制作した3Dモデルが無償/有償で公開されていて、3Dモデルを一から作るという高いハードルをなくしてくれます。