日経コミュニケーションは2014年1月号で「2020年 クラウド時代のサバイバル」という特集を掲載した。オリンピックが東京で開催される6年後の情報通信の姿を、編集部の総力を挙げて描いた。そこに映し出された未来は、必ずしも明るいものばかりではなく、過酷な競争が繰り広げられるところもあるが、2020年に向けた生き残り策のヒントをいくつか見つけ出すことができたと思う。

 ここでは、この特集から見えてきた2014年のキーワードをピックアップして紹介する。遠い未来の姿から、近い将来を推測する手法はソフトバンクの孫正義社長が得意とするところでもあるが(関連記事)、今回は2020年の未来へ至る最初のステップとしての2014年の姿を見ていきたい。

5GにつながるLTE-Advancedの商用化が進む

 まずはモバイルの2013年を振り返らせてほしい。2013年は超高速ブロードバンドもモバイルが主役になった年と言える。

 総務省が四半期ごとに公表している超高速ブロードバンドサービスの契約数からそれが分かる。ここでいう超高速ブロードバンドとは、下り(基地局から端末へ送る方向)の最大通信速度が30Mビット/秒を超えるサービスを指す。それが2013年6月末時点で、モバイル系(LTEやWiMAX)の契約者が固定系(FTTHやCATVなど)を初めて上回った。しかも、前期比の伸び率はモバイル系の24.8%に対して、固定系は1.9%と勢いの差は明らかだ。これからは超高速ブロードバンドの環境でもLTEなどモバイルが主流になっていくのは間違いない。

 そして2014年はLTEを拡張した「LTE-Advanced」の商用化が進む年となる。LTEの通信速度は技術的には300Mビット/秒まで可能。これに対し、LTE-Advancedは下り最大3Gビット/秒と1ケタ高速になる。ここまでくると、通信速度でも固定系のブロードバンドを上回る可能性が出てくる。