まずはエリア対策の詳細を見ていき、エリアに関する誤解を解いてみよう。

 携帯各社は全社的なLTEの移行戦略に基づいて、エリア対策を計画的に進めている。基地局を新たに建設する場合は、場所の選定から地権者との交渉、施工会社への発注、工事監理、基地局敷設後の電波状況の調査と、多くの工程が必要となる。1つの基地局をゼロから作るには、半年から1年近い時間がかかるというのが、携帯各社の共通の答えだ。

 ではエリアを広げる際に重要となる要素にはどんなものがあるのか。各社への取材によって主に、(1)基地局アンテナの高さ、(2)低い周波数帯の利用、(3)基地局の数、という3つの要素があることが見えてきた(図1)。

図1●エリアを広げる主な要素
図1●エリアを広げる主な要素
主な要素として(1)基地局アンテナの高さ、(2)低い周波数帯の利用、(3)基地局の数、がある。“プラチナバンド”と呼ばれる800M~900MHz帯の電波は、2GHz帯の電波と比べて伝搬距離が2倍程度に伸びる性質があり、エリア対策の重要な要素になるが、それがすべてではない。 
[画像のクリックで拡大表示]

 (1)の基地局アンテナの高さに関しては、アンテナが高ければ高いほど遠くまで電波を飛ばせる。高さ50メートル以上の鉄塔基地局と、コンクリート柱に設けられた高さ15メートルほどの基地局では、同じ基地局でもカバーエリアがまるで異なる。