2013年11月からITproで始めた緊急連載「毎回1分!なぜなぜ分析ワンポイントレッスン」。年内に合計10回の記事を掲載した。これはその10回分をまとめた総集編だ。年越し前の合計10分の復習で、今年の「なぜ」をスッキリ解決するヒントにしてほしい。

 毎回1分をうたうだけに、この連載は1回につき、1つのポイントに絞って、簡潔にコツを紹介してきた。

 「なぜなぜ分析」は今やあらゆる仕事の問題解決に有効な手段だが、特に近年はトラブルやヒューマンエラーが頻発しているIT業界での問題の再発防止策として「有効だ」と評価が高まっている。実際、IT業界での導入事例は数多い。

 そうした採用実績と連動するように、日経情報ストラテジー主催の人気セミナー「なぜなぜ分析 演習付きセミナー」、および、2013年秋に新設した「同 管理編」には既に2000人以上が参加しており、開催のたびに満席が続いている。セミナー講師は、なぜなぜ分析のスペシャリストである、マネジメント・ダイナミクスの小倉仁志社長だ。今回紹介する連載の著者でもある。

言い訳の「なぜ」を書いているうちは前進しない

 ここでは、過去10回のなかでも、特に重要な2つについてあらためて紹介しておきたい。まず1つは「言い訳のなぜは書かない」である。

 何か問題が起きた時、人は誰しも言い訳をしたがるものだ。しかし、なぜなぜ分析で言い訳を記述してしまうと、次に続く「なぜ」は、その言い訳を“正当化”するための「なぜ」になってしまうことが多い。これでは正しい原因追究や再発防止策が出てこない。

 小倉氏は言う。「言い訳のなぜ」を書いてしまう原因の1つは、「主語を抜かして事象を記述する癖がついてしまっている」ことだ。報告書などでは、主語が書かれていないのがむしろ“一般的”だったりする。特に日本語では主語がない文章が当たり前のように使われているため、言い訳の記述がよりしやすくなってしまう傾向があるという(これに対し、例えば英語では原則、文頭に必ずIやWeなどの主語が必要になる)。

 言い訳の「なぜ」が散見されるようなら、まず主語が抜けていないかをチェックしてみるとよいという。これだけでもその先の展開が大きく違ってくる。