中国・アジアと日本を取り巻く2013年の状況は、急激な為替の影響と沖縄県・尖閣諸島などの問題に大きく揺れた1年だったといえる。こうした環境を反映するように、中国・アジア関連記事の2013年アクセスランキングでも「チャイナリスク」「オフショア開発」といった記事が年間を通じて広く読まれた。

 1位は特集記事「急変、中国ビジネス」から「チャイナリスクを乗り越える三つの対策」。同特集からは「中国進出の日系IT企業に影響」が3位に、「日系企業への販売活動にも変調」が18位に入るなど、中国市場に対する日本企業の不安が見え隠れした。

 さらに特集記事「もう中国では作れない?、転換期のアジア・オフショア開発」からも「オフショア開発の『三重苦』を直視せよ」が5位に、「世界と互角に戦うには、新たな戦略が必須」が15位にランキングされた。コスト削減が主な目的だった中国でのオフショア開発に、中国の経済発展に伴う賃金上昇に加えて円安が追い打ちをかけ、かつてのメリットが薄れてきている。

 一方で、中国を新たなICT市場として見直す方向もある。「コアなファンに人気! 中国スマートフォン界の寵児『小米(Xiaomi)』」が7位に入ったほか、特集記事「モバイルの超巨大市場中国・アジア、Mobile Asia Expo 2013報告」からは、「TDDかFDDかは有名無実化? LTEで“コンバージェンス”をうたう」と、「5モード端末がずらり、TD-LTE対応スマホをソニーモバイルも発表」がそれぞれ12位と13位にランキングされた。もはや「コスト削減」の場所ではなく、「新たなマーケット」として中国を見直す時期になっているようだ。

 中国に代わる新たなオフショア開発の拠点として、ASEAN諸国の記事も読まれた。「チャイナ・プラス・ワン」と呼ばれるなど、リスクヘッジの意味で中国と「もう一つの国」を求める日本企業が増えているからだ。特に注目されているのがベトナムで、10位の「リクルート、10年ぶりにオフショア再挑戦」や11位の「日系ITはこぞって増員を急ぐ」の記事では、いずれもベトナムでのオフショア開発に奮戦する日本企業の現状を取り上げていた。

 20位には「世界大手の進出が加速するミャンマー、社会インフラの整備が成長のカギ」が入った。11年から民主化が進んだミャンマーは、13年も引き続き脚光を浴び、日本企業から多くの目が注がれている。ASEAN諸国ではカンボジアやラオスなどもICT産業の育成に注力しているだけに、14年は中国以外の記事からも目が離せなくなりそうだ。

2013年中国・アジア関連記事ランキング
(2013年1月1日~12月6日)
1位【急変、中国ビジネス】チャイナリスクを乗り越える三つの対策
2位【中国・アジアReport from 日経コンピュータ】日本は韓国のIT化に追いつけるか(前編)
3位【急変、中国ビジネス】中国進出の日系IT企業に影響
4位【記者の眼】日本の常識はアジアの非常識
5位【もう中国では作れない?、転換期のアジア・オフショア開発】オフショア開発の「三重苦」を直視せよ
6位【記者の眼】中国で「天才幼稚園」をネットワーク化、BPOの老舗が本気な理由
7位【週末スペシャル】コアなファンに人気! 中国スマートフォン界の寵児「小米(Xiaomi)」
8位【中国・アジアReport from 日経コンピュータ】日本は韓国のIT化に追いつけるか(後編)
9位【中国・アジアReport from 日経コンピュータ】日の丸ICT訪問団、ミャンマーへ
10位【リクルート流、ベトナムIT人材活用術】リクルート、10年ぶりにオフショア再挑戦
11位【ASEANコラボ新時代、ベトナムの今】日系ITはこぞって増員を急ぐ
12位【モバイルの超巨大市場中国・アジア、Mobile Asia Expo 2013報告】TDDかFDDかは有名無実化? LTEで“コンバージェンス”をうたう
13位【モバイルの超巨大市場中国・アジア、Mobile Asia Expo 2013報告】5モード端末がずらり、TD-LTE対応スマホをソニーモバイルも発表
14位【韓国、攻めと守りのIT最新事情】韓国の試行錯誤から、日本のマイナンバー/国民IDの将来を考える
15位【もう中国では作れない?、転換期のアジア・オフショア開発】世界と互角に戦うには、新たな戦略が必須
16位【もう中国では作れない?、転換期のアジア・オフショア開発】日本人PMに求められる、中国人SEとの本当の「あ・うん」の呼吸
17位【ニュース】NECが台湾海峡横断海底ケーブルを受注、総距離は約510キロ
18位【急変、中国ビジネス】日系企業への販売活動にも変調
19位【ニュース】日の丸ITで中国6兆4000億円の介護市場に挑む、日立システムズが上海で交流会
20位【海外現地ルポ@ネットワーク[アジア太平洋]】世界大手の進出が加速するミャンマー、社会インフラの整備が成長のカギ