今日は非常に面白い記事を読みました。「ソフトバンクの最大の自慢は『スピード経営』」です。

 有名な日次決算の仕組みや孫正義社長のDSL作業班出席、あるいは深夜、突然に経営幹部からかかってくる電話など、スピード経営に関する断片的エピソードは聞いたことがありましたが、この記事を読んで、点が線でつながった印象を受けました。

 象徴的なのは常識外れの経営会議の姿です。

 「一般に経営会議と言えば、取締役や役員クラスの幹部が集まって意思決定を下す様子を思い浮かべるが、ソフトバンクは違う。役職に関係なく、議題に関連した分野について、最も詳しい知識を持つ人間をすべて召集する。一般の社員はもちろん、社外の人間が呼ばれることも珍しくない」(ソフトバンクの最大の自慢は『スピード経営』

 ADSLサービス「Yahoo!BB」への参入がスピード経営の契機となったという指摘も刺激的です。思い切った低価格で利用者を集めたものの、肝心のサービスがなかなか開通せず、多くの不満が集まったのは覚えていましたが、その裏でソフトバンクが問題を解決すべくどう動いていたか、初めて知ることができました。

 「当時の切迫度を示すエピソードは多くある。孫社長自身も忙しいから、経営会議だけでは販売や技術、建設、財務などの意思決定が間に合わない。このため、孫社長が帰宅するハイヤーに同乗し、車中で承諾を得たら下車。そこからタクシーを拾って会社に戻ることが多かった。孫社長が関西出張の際は、東海道新幹線で新横浜まで同乗する。議論が白熱した場合は小田原まで行くことも。ポスターを決める際も承諾を得るための時間が取れず、孫社長が戻って来る本社地下の駐車場に通じるエレベーターの中にポスターの案を全部張り、乗っている間に指示を受けたこともあったという」(ソフトバンクの最大の自慢は『スピード経営』

 今やソフトバンクの株式時価総額は10兆円を超え、トヨタ自動車に次ぐ2位です。コンピュータ関連の流通会社からスタートしたベンチャーは、ネット革命の大波に乗ってここまで成長しました。

 記事は、ソフトバンクの失敗を恐れない姿勢について触れた一節で終わります。果たしてソフトバンクは今のスピードでどこまで走り続けることができるのでしょうか。同社の姿を見続けることが、ネットの未来を予測する最もうまい方法なのかもしれません。

 ソフトバンクの最大の自慢は「スピード経営」を書いた、榊原康記者は「キレるソフトバンク」という書籍を執筆しています。非常に面白い本です。発売は12月19日。よろしければこちらもご一読ください。