なぜなぜ分析における「現象(事象)」の記述は、現時点で分かっている事実しか書いてはいけません。これが大原則です。
しかし、私たちが日頃使っている表現のなかには、推定や推論、推測の域を出ないものが数多く含まれています。
例えば、ついさっきまで使っていた自分のスマートフォンが、今は「ない」という出来事が起きたとします。
みなさんはスマートフォンを探さなければなりません。この場合、「現象」をどのように表現しますか。下の3つから選んでください。
- スマートフォンをどこかに置き忘れた
- スマートフォンをどこかに落とした
- スマートフォンが、いつも入れているズボンのポケットにない
答えはお分かりですね。正解は3番です。
会議などでもよくあることですが、私たちは無意識のうちに、事実と推論をごちゃ混ぜにして議論をしています。しかし、そんな会議と同じようになぜなぜ分析をしていたのでは、的確な“犯人”を見つけ出すことは難しくなります。
先日ある企業で実際にあった話ですが、「○○が固化した」という表現が現象として記述されていました。しかし、よくよく話を聞いてみると、実は「固化した」というのは、あくまでも推論であることが分かりました。
実際には「○○と△△の間の圧力に差が生じた」ということでした。
みなさんが過去に実施されたなぜなぜ分析のなかにも、現象の欄に「推論」が記述されていないか、ぜひチェックしてみてください。
出だしを間違えると、当然なぜなぜ分析は間違った方向に進んでいってしまいます。
まとめ |
なぜなぜ分析で現象を記述する際は、「推論」が含まれていないかを意識的に確認してみることが大切だ。 |