日本航空(JAL)がITを活用した利用客の「おもてなし」で大きな成果を上げている(図1)。日本ブランド戦略研究所による「Webサイト価値ランキング」で、同社は旅行部門で2011年の9位から、12年に1位に大躍進。13年も2位と高評価を維持した。また、2011年から旅を便利にする10種類以上のスマートフォン向けアプリを提供しており、ダウンロード数は累計130万を超えた。

図1●Webサイトやスマホ向けアプリで包括的な満足度向上を目指す日本航空
図1●Webサイトやスマホ向けアプリで包括的な満足度向上を目指す日本航空
チケット販売サイトでは顧客が嗜好に合った商品を探しやすいよう工夫し、空港ではスマホアプリで搭乗手続きを楽にするなど、購入前や利用時のサービスで顧客を快適に包み込むことを目指している
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わくわく感を演出

 同社のIT活用が特徴的なのは、チケット購入や搭乗までの手続きなど、顧客が目的の航空便に乗るまでのプロセスをどう快適にできるかに徹底してこだわっていることだ。

 搭乗時間を案内するアプリ「JAL Countdown」は、最新の遅延情報などを踏まえて実際の搭乗案内時間を顧客に通知し、待ち行列の煩わしさを減らした。非接触ICカード「FeliCa」技術を使ったスマホアプリではチケットレスで搭乗できる機能も実現している。

 旅行を計画する段階から、顧客に「おもてなし」の気持ちを伝える狙いを込めたアプリも好評だ。スケジュール管理用の「JAL Schedule」は特に高評価を得ているアプリで、通常の予定管理だけでなく、お薦め観光イベントや購入済みチケット情報を参照しながら旅程を組んだり、客室乗務員や飛行機の写真などでスケジュール表を飾ったりできる。顧客が旅の計画を練るわくわく感を演出する狙いだ。

 顧客の快適さやロイヤルティーを多面的に高める取り組みが評価され、JALは世界の航空・旅行産業関係者が集まる世界会議「Future Travel Experience Global」で2013年9月、モバイル技術活用部門の最優秀賞を受賞した。モバイルITを使った顧客満足度向上で、世界でも業界の最先端の活動だと認められたのだ。