本書はコンピュータの父と言われる、英国の数学者、アラン・チューリングの生涯を描いた伝記だ。チューリングは1912年生まれ。41歳の若すぎる死までの間、「チューリングマシン」によってアルゴリズムを定式化しコンピュータの基礎を築いたほか、第2次世界大戦時にドイツの極秘暗号文を解いたことでも知られる。本書を読むと、チューリングの関心は、実に幅広い分野に及んでいたことに驚かされる。例えばニューラルネットワークを使った人工知能のアイデアを既に出していたり、生物の形成を人工生命によって研究するといった具合だ。

 最終章では、チューリングの謎めいた死に迫っている。チューリングは同性愛者であり、そのことが罪に問われ化学療法が施された。彼の死は一般的にはこのことを苦にした青酸自殺とされている。しかし本書では事故や他殺の可能性についても追求している。

なぜなぜ分析 管理


チューリング
B・ジャック・コープランド 著
服部 桂 訳
NTT出版発行
3045円(税込)