トヨタ自動車、NTTドコモ、ソニー、CCC---。これらの企業は、プライバシー保護に配慮しながら、パーソナルデータを利活用するサービスの立ち上げに成功した企業である。積極的にパーソナルデータを利用したい企業にとって、その事業モデルは大いに参考になるはずだ。

 日経コンピュータは、各事業のプライバシー配慮のレベルを分かりやすく示す目的で、JR東日本を含めた5社の事例について、レーダーチャートによる評価を試みた(図5)。特集の第1回で説明した6つのポイントをそれぞれ項目とし、「1」~「4」の4段階で評価する。必ずしも全ての項目で「3」や「4」といった高得点を狙う必要はなく、ある項目が低ければ他の項目で補うなど、全体として利用者の納得度の高いスキームを構築すればよい。

図5●JR東日本の「Suica乗降履歴販売」におけるプライバシー配慮度を示すレーダーチャート
図5●JR東日本の「Suica乗降履歴販売」におけるプライバシー配慮度を示すレーダーチャート
2013年7月25日以降の方針変更で、総合的な配慮度を表す「面積」が広がるも、利用目的に照らして十分広いかどうかは検討の余地がある
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 一方で、チャート全体の面積が狭く、各項目で「1」か「2」しかないようなら、リスクは高いとみたほうがよい。事業のスキームについて再検討が必要だろう。