2013年5月13日は「イーサネット」の40回目の誕生日である。1973年のこの日、発明者のボブ・メトカフ博士が、開発中だったLAN技術を「エーテル(Ether)」にちなんで「イーサネット」と名付け、米ゼロックスのパロアルト研究所の同僚にメモを配ったからだ。

 当初はゼロックスのワークステーションを接続するLAN技術として開発が始まったイーサネットはその後、IEEE(米国電気電子学会)の下で30年前の1983年に標準規格化された。現在では企業や一般家庭、データセンターや通信事業者の高速回線、長距離回線などで広く使われている()。

図●さまざまな場所で使われているイーサネット対応機器やLANケーブル
図●様々な場所で使われているイーサネット対応機器やLANケーブル
自宅のネットワークからデータセンターや通信事業者のネットワークまで様々な場所でイーサネットは使われている。イーサネット機器もネットワークの規模に応じて様々なものがある。
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 当初10Mビット/秒で始まった伝送速度も適用範囲が広がるのに合わせて段階的に高速化された。伝送に使うケーブルも、当初の同軸ケーブルからより対線ケーブルや光ファイバーが使えるように改良された。オフィスや家庭では100Mビット/秒の「100BASEヒャクベース-TX」がいまだに主流だが、一部の通信事業者では最大100Gビット/秒の伝送が可能な100Gビットイーサネット(100GbE)のサービス化が始まった。30年で1万倍に高速化した計算になる。

100GbEは過去の技術の集大成

 2012年7月にインターネットでの相互接続を担う「IX」(Internet eXchange)サービスの一つであるJPNAPは、100GbE対応サービスを国内で最初に始めた。2013年1月以降、通信事業者のNTTコミュニケーションズやKVHが100GbE対応の企業向け通信サービスを始めている。

 動画コンテンツやスマートフォンの流行で、インターネットを流れるデータの流量(トラフィック)は増加の一途をたどる。コンテンツ事業者やプロバイダーは解決策として100GbEを待ち望んできた。

 この特集では最新の100GbEを理解するために、40年に及ぶイーサネット技術開発の経緯をひも解く。100GbEは過去のイーサネット技術の集大成だからだ。40周年のこの機会に改めてイーサネットを学んでみよう。

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