スタートアップ企業に必要な組織作り、プロダクト作り、特許戦略、マーケティング、資金調達、エグジット戦略を1冊にまとめている。起業を考える人が最初の1冊として手に取るべき本だ。類書は資金調達だけに注目したものが多い中、創業者がすべきことを網羅した点でほかにない特徴となる。本文は実例が豊富で読み進めやすい。マニュアル本のような無味乾燥さとは無縁だ。

 著者はシリコンバレーでベンチャーキャピタル(VC)を経営する米国人だが、日本人に向けて日本語で書き下ろしている。日本で学位を取得した、米国人VC経営者には珍しいユニークな経歴が生きている。「世界に通じる日本発のベンチャー企業に出てきてほしい」という著者の思いが各所ににじんでいる。ただ、そうした経歴から、日本の銀行や公庫を使った資金調達に関する記述は薄い。それらの点は別の本を参考にすべきだろう。

スタートアップ・バイブル


スタートアップ・バイブル
アニス・ウッザマン 著
講談社発行
1575円