米国IT企業のトップには千両役者とでもいうべきプレゼンの達人が何人もいます。直接、取材したことがある人物で言えば、セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEO(最高経営責任者)は筆頭に上がるかもしれません。

 「セールスフォースが『Salesforce 1』を発表、企業向けアプリのモバイル移行促進狙う」「『Salesforce 1』でCRMとGoogle Glassや腕時計型端末との連携をデモ、HPとの提携も発表」といった記事を読んで改めてこう感じています。

 ITproの記事からベニオフ氏の記憶に残る言葉を書き出してみます。

「あなたの会社でもソーシャル革命を起こしてほしい」(「ソーシャル革命が起きている」、セールスフォースのベニオフCEOがDreamforce 2012で熱弁

「日本には5月に来たばかりだったが、『偽物のクラウド』への注意を促すために戻ってきた」(「偽物クラウドへの注意を促すために日本に戻ってきた」、セールスフォースのベニオフ氏

「企業向けのクラウドを牽引するのは我々だ。あなたのビジネスを動かす基盤は、今ここにある」(着々と拡大する「セールスフォース連合」

「ユーザー企業はオンデマンド型の利用形態に移行する。そこに進めないITベンダーは死んでしまうだろう」(「オンデマンドに進めないITベンダーはなくなる」、米セールスフォースのベニオフCEO

 2004年ころには、「競合社の顧客フェア会場の外で俳優を雇い『ソフトウエアの終焉』を演じさせたり、ゴースト・バスターならぬ『ソフトウエア・バスター』のバッジを配っ」たりしていたこともあります(ASPがビジネスソフトベンダーに復讐、米セールスフォースの次の標的はIBM)。

 2メートルはあろうかという長身のせいもあるのか、同氏のプレゼンはいつも迫力満点です。クラウドの分野では、アマゾン・ドット・コムの攻勢が目立ちますが、セールスフォース、ベニオフ氏の動向からも目が離せそうにありません。