政府のIT総合戦略本部は2013年9月から「パーソナルデータに関する検討会」(座長=堀部政男・一橋大学名誉教授)を開催し、個人情報保護法の法改正などを検討している。

 検討会は、2013年11月22日に開催予定の第4回会合で、制度見直し方針や個人情報の本人同意取得手続きの標準化を盛り込んだ事務局案を示す予定だ。同年12月の第5回で制度見直し方針のとりまとめを行うという。(関連記事:「あらゆる法律を改正する意気込み」、IT総合戦略本部がパーソナルデータに関する検討会

 急ピッチで議論が進められている理由は主に3つある。

 1つは、個人の行動履歴を含む「ビッグデータ」をマーケティングに活用しようとする企業の動きが急速に広がっているためだ。2つめは、氏名などがなければ個人情報ではないというような現行法への誤解が払拭されず、データを提供する側からの同意取得といった手続きが、現行法に照らしても問題があると指摘される実態がある。

 3つめは、2013年9月にOECD(経済協力開発機構)のプライバシーガイドラインが33年ぶりに改訂されたためだ。加盟国はプライバシーを保護する法律の制定やプライバシー執行機関の設置を求められている。域外へのデータ移転に求める要件や課徴金を定めたEU(欧州連合)のデータ保護規則案といった海外動向にも目を配らなければならない。

 とりわけ医療現場では、プライバシーとデータ活用を両立できる体制を整えなければ、高度なイノベーションにつなげられない恐れもある。国際水準に合わせた法改正は、日本の国際競争力を高めるためにも喫緊の課題というわけだ。

 データを活用する企業にとっては、どのような手続きでデータを取得して管理するか、新たなルールによって億円単位の投資が必要になる場合もあるという。法改正の考え方をしっかり把握しておく必要があるだろう。