マーケティング部門から「ソーシャルメディア活用って、そんなに簡単なものじゃないですよ」と諭され、担当者が駆使する専門用語を理解できず議論に発展することなく悔しい思いをするシステム部門など非マーケティング部門の担当者――。こうした光景をよく見かけます。

 FacebookやTwitter、LINEなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使う人があふれ、そこでの話題が商品やサービスの評価に直結するようになった今、ソーシャルメディアへの対応はマーケティング部門だけが考えればよいことではなくなりました。

 販売部門、CS部門、開発部門などほとんどの部門のキーパーソンが“肌感覚で感じた”こんな問いかけをしてきます。「うちはちゃんとやっているのか?」

 専門ではない人の感覚は、大切にしなくてはいけません。そうした感覚は、ソーシャルメディアはもう流行ではなく、避けて通れない課題としてとなっていることの証(あかし)だからです。

 SNSは、それぞれがサービスのプラットフォームですので、個々のサービスには流行り廃りがあります。ただし、ソーシャルメディア全体は生活者にとって欠かせないインフラとなり、消えて無くなることはもうありません。

 だからこそ、情報システムにかかわること者が多いITproの読者各位も、ソーシャルメディアを業務上の課題として捉える必要に迫られているはずです。

 その際に、相談先あるいは折衝先となるのがマーケティング部門の担当者であり、そこでは冒頭の“よくある光景”が繰り返されるのです。

 筆者は普段の業務で、マーケティング部門と一緒にソーシャルメディアについて議論をしています。その経験から、非マーケティング部門の人が自信を持って、次のように言えるように、連載を始めることにしました。「そう、簡単じゃないですね。だから一緒に考えましょう!」

 今連載は、マーケティングの専門家になるためのソーシャルメディアのノウハウ集ではありません。イノベーションにテクノロジー面からアプローチする情報システム部門の担当者あるいは責任者が、抑えておくべきコミュニケーション戦略の基礎知識を解説します。

 そしてときには、打ち合わせの場でマーケティング部門の担当者を本気にさせるための“非マーケッターのネタ帳”として活用できるように話を進めます。