国内IT大手4社の、2013年4~9月期連結決算が出そろった()。日立製作所と富士通が増収と営業増益を確保した一方で、NTTデータとNECは不採算案件の影響などで営業減益となった。

表●日立製作所、富士通、NEC、NTTデータの2013年4~9月期連結業績
表●日立製作所、富士通、NEC、NTTデータの2013年4~9月期連結業績
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 日立の情報・通信システム部門の売上高は前年同期比6.2%増の8847億円、営業利益は同15.1%増の313億円となった。ストレージソリューションの売上高が14%伸び、全体を牽引した。中村豊明副社長は「ストレージではソフトの比重が高まっている」と指摘。2011年に買収した米ブルーアークなどを軸に、ソフト開発力を強化する方針を示した。

 富士通は主力のテクノロジーソリューションが好調。同部門の営業利益は前年同期比で33.3%増え、583億円となった。国内では金融や公共向けのITサービスが伸び、海外ビジネスも円安が寄与して増収だった。加藤和彦CFO(最高財務責任者)は決算会見で「受注が過去2番目の水準だった」と述べ、下期以降も好調を維持すると自信を見せた。

 一方で、課題も浮き彫りとなった。「200億円を超える赤字」(加藤CFO)となった携帯電話端末事業である。「上期の携帯電話出荷台数は月間20万台レベルで推移した」(同)ことを受け、富士通は2014年3月期通期の携帯電話出荷計画を100万台減らし、420万台(2013年3月期実績は650万台)へと下方修正した。

 NTTデータは国内のシステム開発で発生した、6件の不採算案件が業績を圧迫。4~9月期だけで約250億円の減益要因となり、営業利益は前年同期比91.3%減の26億円に落ち込んだ。通期営業利益予想も、当初計画より300億円減の600億円へ下方修正した。

 同社の岩本敏男社長は、不採算案件の原因について「新技術やプロジェクト計画の見極めが不十分だった」と説明。大型案件については社長自ら審査することで、再発防止に取り組む。同社は海外企業の買収を相次ぎ発表しているが、足元の国内事業の立て直しが急務だ。

 NECはスマートフォン事業撤退の影響で、営業利益が前年同期比99.2% 減の3億円となった。WindowsXPのサポート終了に伴う法人向けPCの更新需要などを取り込み、通期で1000億円の営業黒字を目指す。