来年8月までに決着するマイクロソフトのステーィブ・バルマーCEO(最高経営責任者)の後任選びは着実に進んでいるようです。本日公開した「Microsoftの次期CEO、候補者が5人程度に、FordのCEOやNokiaの前CEOなど」を読むと、4人の名前を知ることができます。

 「米Ford MotorのAlan Mulally CEO」「フィンランドNokiaのStephen Elop前CEO」、マイクロソフト社内の幹部である「Skypeの元CEO、Tony Bates氏」と「クラウドおよびエンタープライズ部門の責任者、Satya Nadella氏」がそうです。残念ながら、直接会った方はいません。

 バルマーCEOは何度かお目にかかりました。大半は記者会見ですが、忘れられない光景があります。

 都内のあるホテルでの記者会見の後、建物から出て地下鉄の駅へ向かおうとしていると、記者会見で聞いていたのと同じ声が、後ろから響いてきたのです。車寄せに止めた車に乗ろうとしたバルマーCEOの声でしたが、同氏との距離はかなりあり、思わずマイクを使っているのではないかと確認するほどでした。

 別に怒鳴っているわけではありません。普段の声もここまで大きいのか、マイクロソフトのような大企業を動かすトップはここまでエネルギッシュなのか、と妙に納得したのを思い出します。聞こえてきた英語の内容は忘れましたが、強気で鳴らした記者会見でのやり取りよりも、この光景が記憶に残っています。

 現在、同氏が何を考えているかは分かりませんが、スマートフォンの市場で成功していないのはCEOとして心残りでしょう。アップルの逆転劇やグーグルの躍進を許しただけにとどまらず、栄華を誇ったPCの時代に終末をもたらすだろう存在にまでスマホは成長しました。

 創業者で前任のCEOだったビル・ゲイツ氏には「Information at Your Fingertips」という有名なビジョンがあります。このビジョンを体現したスマホでわき役に甘んじているという事実も、バルマーCEOの心に引っかかっているのではないか、という気がしています。