一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売を巡る争いが、再び法廷の場に持ち込まれそうだ。

 2013年11月6日に開かれた緊急記者会見で、楽天の三木谷浩史会長兼社長やケンコーコムの後藤玄利社長は、大衆薬のインターネット販売を一部制限する政府方針に反対し、ケンコーコムを中心に行政訴訟を起こす構えを見せた(関連記事:「産業競争力会議を辞任」、市販薬ネット販売一部制限の政府方針に三木谷楽天社長)。

 最高裁判所は2013年1月、ケンコーコムなどが厚生労働省を相手に起こしていた訴訟に対し、国の上告を棄却する判決を言い渡した。これで、医薬品のネット販売を巡る争いは終結した、と多くの人は思ったはずだ。しかし政府は、医療用から切り替わったばかりの市販薬23品目と劇薬指定の5品目はネット販売を認めないという新たなルールを設定(前者については最長3年)。ネット通販業者側は、これに猛反発した。

 2009年に省令によって、特にリスクが高い「第一類医薬品」とリスクが比較的高い「第二類医薬品」のネット販売が禁止されたときに比べて、今回の規制は大幅に緩い。ただ三木谷社長が問題視しているのは、規制対象となる医薬品の“数”ではない。規制改革、ITを活用した経済成長戦略の行方そのものを懸念している。

 その一方で、薬害防止の観点から「何が何でも規制緩和」という方針に異を唱える人もいる。医薬品販売に限らず、インターネットには何らかの規制が必要と考える人も少なくない。

 医薬品のネット販売を巡る争いは、新たな段階に入りはじめたようだ。