センス”の裏にある数学的思考

 A/Bテストや相関係数など、統計用語がビジネスの会話に登場することも増えてきた。本書は、実際のビジネスでよく使う数字や数学的な見方をストーリー形式で紹介し、実際の場面を想定して統計の基礎を分かりやすく解説している。

 舞台は中堅のアパレル会社。ヘッドハンティングを受けてコンサルティング会社から転じた“数学女子”の柴崎智香が、なにごとも「センス」の一言で片付けがちな営業部の面々に、数字の見方や大切さを植えつけていく。時には部内のメンバーとぶつかりながらも、徐々に数学的思考を組織に浸透させていく流れだ。

 例えば「予想」と「予測」の違い。1年後のコレクションや販売戦略について、全国10店舗の店長が集まって議論する「全社営業会議」でのこと。営業部のリーダーで、数学的思考とは無縁の“文系男子”木村斗真の「俺の予想では、来期はショートパンツあたりがいいかもしれないね」という発言に、「それは『予想』ですか? それとも『予測』ですか?」と智香がかみ付くところからストーリーは展開する。智香は勘ではなく、数字で表現できる規則性から、前もって「測る」ことが予測に当たると説く。そのためのツールとして、相関係数が登場する。

 本書で登場する話題は、ビジネスパーソンとして知っておくべきものばかり。データ分析がブームの今こそ、その取っ掛かりとして本書から始めるといいだろう。

仕事で数字を使うって、 こういうことです。


仕事で数字を使うって、こういうことです。
深沢 真太郎 著
日本実業出版社発行
1470円 (税込)