初心者に向けてコンピュータ技術や通信技術を分かりやすく解説した本。著者は、UNIXやC言語に大きく貢献し、デニス・リッチー氏との共著「プログラミング言語C」(K&R)でも有名なカーニハン氏である。

 この本は、コンピュータや通信の技術について、教養のある人なら直接関わらずとも正しく理解しておくべきとの信念の下に著されている。内容は、米プリンストン大学の人文科学・社会科学系の学生を対象とした講義に基づいており、一般の社会人なら誰にでも読める。一方で、技術面の記述は適度に深く、技術者も飽きずに読める、調和のとれた内容となっている。

 全体の構成は「ハードウエア」「ソフトウエア」「コミュニケーション」(通信)の3部立てとなっている。コンピュータ科学者の著者が、全3部のうちの1部を通信に充てたのは意外な印象を受けたが、それだけ通信技術が重要だという証左なのだろう。

ディジタル作法


ディジタル作法
ブライアン・W・カーニハン 著
久野 靖 訳
オーム社発行
2310円(税込)