「なぜ」を考えていく時によくある間違いは、発生している事象についての「前提条件」をあまり考えないで、思いつくままに要因を並べてしまうことです。

 確かに、発生する可能性のある要因を並べるのはよいことですが、その後の検証を考えれば、できるだけ要因の数は絞りたいものです。

 様々なパターンを整理するため、あれもこれも入れるのは一向に構いません。ただ、慢性的にいろいろなパターンが発生している場合も少なくないので、できればその場合は「現象」の段階で一つのパターンに絞り込んでおくとよいでしょう。

 例えば、以下において、もしそこに「猫」がいないのであれば、猫のことを要因に挙げても意味がありません。同様に、風がなく穏やかだったら、「風がコップに強く当たった」ということを挙げても意味がありません。

 これこそ、推論ではなく、空想の世界に入っていってしまいます。

 したがって、なぜなぜ分析を実施する前には、分かる範囲で前提条件を列記しておき、そのうえで分析を進めていくとよいでしょう。上の例でいえば、「猫はいない(あるいは動物はいない、ペットは飼っていない)」とか、「風はふいていない」などが前提条件になります。そうすれば、除外できるものが増えて、要因を絞り込めます。

まとめ
 なぜなぜ分析を始める前には、まず「前提条件」を考えてみる。そうやって要因を絞り込むのが効果的だ。