今回は、少々変わったネタから紹介する。自己組み立てロボットのセキュリティについてだ。米シマンテックは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らが発表したロボット「M-Blocks」について、ブログで考察した。

 MITが開発した立方体のモジュール式ロボットは、内部の弾み車を使って自身で並び替えをする。弾み車が生み出す推進力で、各部品は自在な方向に前進し、磁石で連結する。また、ジャンプ移動するのに十分な勢いを出すエネルギーを発生する。

 この立方体ロボットは初歩的な形状の組み立ては可能だが、残念ながら巨大な戦闘ロボットには変身しない。なぜならそれが目的ではないからだ。研究者らは、将来、各モジュールが自律的に動作することを目指している。現在のプロトタイプは外部から制御し、無線でコマンドを送信する。

 しかしセキュリティ研究者の立場からは、こうしたモジュール式ロボットの安全性には疑問の余地がある。現時点ではまだプロトタイプなので、将来バージョンでどうなるかはあくまで推測の域でしかないが、課題の1は、悪質なモジュールを確実に特定できるかどうかだ。不正なモジュールが混入すれば、他のモジュールが混乱し、作り上げようとしていた構造が崩壊してしまう。

 現在の自律モジュール式ロボットは中央にコマンドを送受信する制御ユニットを備えており、いわゆる「モノのインターネット」にたとえられる。モノのインターネットとは、インターネット接続されたデバイスのグループのことであり、膨大な可能性を秘めた分野として関心を集めている。

 モノのインターネットで最も実用的なのはスマート家電機器で、一部はすでに販売されている。現在市販されているロボット掃除機などは、自己組み立て機能こそないが確かにロボットだ。

 モノのインターネットの分野には、既にセキュリティ業界が大きな関心を寄せており、セキュリティカンファレンスでますます議題にあがるようになっている。例えば2013年の「DerbyCon」では、電源スイッチをリモートで完全に乗っ取る方法について講演が行われた。照明のスイッチをオン/オフする程度なら脅威ではないが、窓やドアの開閉となれば懸念は大きい。

 ポートをスキャンする冷蔵庫やマルウエアを使って他の電灯に感染するムード照明、そういったものはすべて現実的に起こり得る。いずれ、隣人がリモートでトースターの制御を奪い、ステレオの音楽を切るようになるかもしれない。このような家電器機のほとんどはセキュリティを考慮して作られていないので、不正なコードが動作しているとしても検出や除去が難しいと、シマンテックは指摘している。