266万人の会員を抱えるポイント交換サービスのネットマイルは今年、ベトナムでIT技術者の採用活動を実施、新卒技術者2人に内定を出した。国内のIT技術者が不足する中、優秀な人材をアジアに求めた格好だ。濱本暁執行役員CTO 技術開発本部本部長は、「技術への関心が高い」と、ベトナムIT技術者の魅力を語る。

(聞き手は岡部 一詩=日経コンピュータ)
写真●ネットマイルの濱本暁執行役員CTO
写真●ネットマイルの濱本暁執行役員CTO
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ベトナムの新卒技術者を採用した背景は。

 まず、国内のIT技術者を確保することが難しくなっていることが背景にある。ゲーム業界での激しい人材獲得競争もあり、優秀な新卒技術者が入ってきにくいのが現状だ。

 もう一つは実績があったこと。これはたまたまだが、当社は2012年の新卒採用で、ハノイ工科大学出身のベトナム人留学生を採用した。ゲームでネット上の集客を支援するアドバタイジングゲーム向けの管理システム開発で、既に第一線で活躍してもらっている。

採用活動の経緯は。

 Web系企業4社でベトナムに出向き、ハノイ工科大学出身者向けに合同採用会を実施した。初日の会社説明会には、40~50人が集まった。2日目から面接をし、最終的に2人に内定を出した。

選考に当たって重視した点は。

 当社の社長は、地頭の良さをポイントにおいた。判断材料としては、大学での成績や課外活動、面接の中での受け応えなどだ。

 CTO(最高技術責任者)である私が重視したのは、技術に対する好奇心の有無。仲間同士でアプリを開発していたり、オフショア開発の企業でインターンシップをしていたりと、技術への関心が高い学生が多かった。特に会社説明の中で「Hadoop」や「Node.js」、「MongoDB」といった技術を当社が使っていることを紹介した際に、学生たちの反応が非常に良かったのが印象的だ。

 とにかく日本で働きたいという学生も少なからずいたが、内定を出した2人の学生は、当社の技術内容に興味を持って入社を希望してくれた。ベトナムの日本語学校で約半年間、日本語を勉強させてから入社してもらう予定だ。

コスト削減の意図は。

 ベトナム人技術者と日本人技術者との間で、給与水準に差はつけない。人件費の削減よりも、とにかくWebアプリやスマホアプリの優秀な開発者を確保したいという思いが強い。

 当社では今後、アドバタイジングゲーム事業などのビジネスを拡大するつもりだ。アプリ開発のボリュームはますます増えるし、その分、人材も必要になる。

今後の展望は。

 今回、納得のいく人材と出会い、実際に内定を出すことができた。今後も継続的にベトナムで採用活動をし、年間2人くらいの採用を目指す。ゆくゆくは現地拠点も設けたい。

 ベトナム人技術者を雇用するのは、日本語教育や来日手続きなど、日本人の採用に比べて手間がかかるのは確か。しかし、それを補ってあまりある利益を当社にもたらしてくれるはずだ。