韓国のソフトウエアベンダー「ティーマックスソフト」が、日本でのソフト販売を強化する。日本法人の日本ティーマックスソフトは2013年11月1日、RDBMSの「Tibero」をはじめ、Webアプリケーションサーバー「JEUS」、Webサーバー「Tmax WebtoB」の3製品を日本HPが手掛けるIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)である「HP Enterprise Cloud Services-Virtual Private Cloud」上で稼働させ、クラウド型サービスとして提供を開始した。クラウド型のサービスを手掛けるのは初めてだ。

 ティーマックスの主力製品は、ミドルウエアソフト群。2011年の国内Webアプリケーションサーバー市場では40%近くのシェアを獲得し、米オラクルや米IBMを抑えトップに立ったという。

 同製品群の特徴は、米オラクルや米IBMの有力製品と互換性を持たせたうえで、廉価な価格設定をしている点にある。例えば、RDBMSであるTiberoは「Oracle互換」を掲げ、「Oracle Database」の置き換え需要を取り込む。Oracle Databaseの新機能は、約1年遅れでTiberoに追加しているという。日本ティーマックスの早水光祥代表取締役社長は、「当社の製品はジェネリックのような位置づけだ」と説明する。

 ただし日本では、韓国で主力のミドルウエア製品よりも、メインフレームのリホストソリューションである「Tmax OpenFrame」が実績で先行。野村証券やライオンなど日本の大手企業が、OpenFrameを採用している。今回のクラウド化で、本命であるミドルウエア市場で存在感を高める狙いだ。

 「Tibero RDBMS for cloud」の価格は、月額14万円からに設定した。「JEUS for cloud」は月額8万7千円から、「Tmax WebtoB for cloud」は月額3万円からだ。米オラクルのOracle DatabaseやWebLogic、米IBMのWebSphereを使う場合に比べ、「3~5年の利用でTCOを半分にできる」(早水社長)と強調する。

 羅鍾弼代表取締役副社長は、「単に安いだけではない」と主張する。JEUSとTmax WebtoBで構成したWebシステムの場合、「リバース・コネクション・プーリング」という機能を提供する。これはWebサーバーとWebアプリケーションサーバー間で、ファイヤーウォールのポートを開けずに通信をする仕組みだ。強固なセキュリティを担保できるという。

 日本ティーマックスは、3種類のクラウドサービスで2014年度に15件、5000万円の売上目標を掲げる。日本市場においては、スマートフォンなどに比べると、ソフトウエア領域での韓国企業は影が薄い。同社はクラウドサービスを足掛かりに、日本でも韓国製ソフトウエアの魅力を浸透させたい考えだ。