DevOpsとは、開発と運用が一体となり、短いサイクルでシステムの開発・リリースを繰り返す考え方である。もともとアジャイルやリーンスタートアップなど、アプリケーションの開発・保守の分野で語られることが多かった。だがこれは「狭義のDevOps」といっていい(図1)。

図1●DevOpsの対象はアプリケーションだけではない
DevOpsは本来、アプリケーションの開発と運用・保守を一体化(または連携)することを指す。しかし迅速かつ柔軟なサービス提供を実現するには、インフラの構築と運用・保守、またアプリケーションとインフラ部門の連携まで含めた一体化が求められる
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インフラの構築・運用も一体化

 「これから求められるのはインフラの構築・運用の一体化・連携だ」。こう強調するのは、NTTデータSMSの佐合氏である。佐合氏は、アプリケーションの開発・運用を一体化しただけでは効果が限定的だと見る。「現在インフラ構築と運用は体制上、切り離されている組織が多い。これを一体化したのが、広義の意味でのDevOpsだ」(佐合氏)。

 実際、日本IBMなどこうした動きに対応し始めた企業もある。これまで開発と運用に分かれていた組織を、アプリケーション開発・運用・保守と、インフラ構築・運用・保守に役割変更したのだ。迅速かつ柔軟なサービス提供の実現が、役割変更の最大の目的である。

 同社の沢橋氏は「それぞれ開発から運用・保守まで一気通貫で担う。また担当者が目指すのは、それぞれ業務のITアーキテクトと、基盤のITアーキテクト。DevOpsはこうした役割の変革を促している」と話す。

 ユーザー企業でも同様の動きが広がっている。富士フイルムグループやリクルートグループの運用部門は既に、インフラの構築・運用・保守部門である。アプリケーション保守は運用部門の領域ではなく、業務部門に近い開発部門の役割だ。

 開発部門と運用部門からアプリケーション部門とインフラ部門へと体制を見直すと、今度はアプリケーション/インフラ部門間の溝が生じる恐れがある。アプリケーション開発にさまざまな制約を与えるクラウドがその一例だ。両者の一体化・連携も、DevOpsの範囲といえる。