前回は、第二の互換レベルであるストレージやネットワークといった付加機能に関する互換性について述べた。今回は、運用管理を自動化する上では欠かせない第三の互換レベル、管理用APIの互換性について検証する。
マルチクラウドを実現
管理用APIの互換性は、CloudStackやOpenStackを採用する完全互換路線のIaaSが実現している。これら完全互換路線のIaaS事業者は、複数のクラウドを一元管理する「マルチクラウド」のサービスを提供している。
例えばIDCフロンティアは、CloudStackベースである自社のパブリッククラウド「IDCフロンティアクラウドサービス」と、ユーザー企業が構築したCloudStackのプライベートクラウドを同一の管理コンソールから一元管理できるようにしている(図3)。ユーザー企業のプライベートクラウドは、IDCフロンティアのデータセンター(DC)内に構築し、プライベートクラウドの運用もIDCフロンティアが代行する。
SCSKもマルチクラウドのサービスを提供する(図4)。SCSKの「PrimeCloud Controller」は、同社が提供するCloudStackベースのパブリッククラウドである「USiZEシェアードモデル」や、CloudStackベースで構築したプライベートクラウドに加えて、AWSなども管理できる。
2013年5月にIaaS構築ソフトの国産OSS「Wakame-vdc」を採用したIaaSである「GreenOffice Unified Cloud」を開始したKCCSも、マルチクラウドを提供する予定だ。同社のIaaSの管理コンソールから、同社のIaaSとAWSの双方を管理可能にする。