2014年4月9日のWindows XPサポート切れまで残り半年を切った。移行に必要となる各種準備や作業の期間を考えると、もはや“待ったなし”の状況といえる(図1)。XPが稼働するPCを数多く抱え、まだ移行作業に着手していない企業ユーザーは、今すぐ本格的に動き出す必要がある。
XPのPC台数やアプリケーションの数によっては、4月9日までの完全移行は実質不可能というケースもあるだろう。「XPで稼働するアプリケーションが約1000種類あり、動作検証だけで1年程度かかったケースもある」(TIS IT基盤サービス本部 IT基盤サービス第1事業部 IT基盤サービス第2営業部 伊藤宏樹氏)。このように、規模が大きくなるほど検証や改修作業に膨大な時間が必要となる。
最悪なのは、あきらめること。米Microsoftがセキュリティ情報の提供やパッチの配布をやめる以上、4月9日以降もXPを使い続けるのは極めてリスクが高い。残された日数と相談しながら、可能な限りXP環境を減らしてリスクの最小化に努めるべきである。
そこで、これからXPからの移行を始めるユーザー向けに、移行作業のポイントをまとめて紹介する。取材で得た情報に、日経SYSTEMSで独自の検証結果を加えて解説する。
ほとんどが7への移行を選択
XPからの移行に当たってまず決めるべきは「Windows 8と7のどちらを選ぶか」という移行先OSである。8でも7でも、既存Windowsアプリの動作性という観点ではほとんど差はない(関連記事)。8は、7よりサポート期間が約3年間長く、新機能が追加されている点が魅力となる。半面、画面タッチを前提とした操作体系を採用しているため、既存のXPユーザーが操作に戸惑いや使いにくさを感じやすい点がネックとなる。実際に、移行支援サービスベンダーの担当者は、「ほとんどの企業ユーザーは7を選ぶ」と口をそろえる。
ただし、操作性については10月17日にリリースされる「Windows 8.1」でかなり改善が図られる(図2)。もし時間が許すなら、8.1も試してからOSを選定するとよいだろう。
移行作業の中核となるのは、(1)移行作業前の調査、(2)OS・アプリの移行、(3)データ・設定の移行―という3ステップになる。次回より、ステップごとに押さえるべきポイントを紹介する。