ビッグデータへの関心の高まりからか、近ごろは「データサイエンティスト」という言葉を見ない日は無い。日本で最も著名なデータサイエンティストの一人と言えるのが、本書の執筆者である大阪ガスビジネスアナリシスセンター所長の河本薫氏だ。本書はそんな河本氏の体験を踏まえた、データ分析をビジネスに活用するための指南書だ。

 本書で河本氏が強調するのは、データ分析は単なる手段であり、意思決定への寄与度といった価値を産まなければ、単なる数字遊びにすぎないという点。ビジネスに役立つデータ分析のノウハウを、河本氏は自らの経験を紹介しながら余すことなく提供する。その筆致は説得力がありシャープだ。データサイエンティスト系の本にありがちな、ふわっとした印象をとことん排除している。ビジネスで求められるデータサイエンティスト像を明確化しており、幅広い読者に読んでもらいたい一冊だ。

会社を変える分析の力


会社を変える分析の力
河本薫 著
講談社発行
798円(税込)


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