新しい会社組織や個人の仕事のやり方を考えるうえでの構造的な環境変化、今回取り上げるのは「境界のあいまい化」です。

 インターネットの普及によって、「素人と専門家」「完成品と未完成品」などの明確な境界があいまいになっています。こうした動きは、会社と個人との関係も含めて、今後普及していくでしょう。

 将来は会社と個人の境界も徐々にあいまいになっていき、今までのような会社と個人の間の線引きの位置づけは大きく変化していくことになるかもしれません。

境界がファジーになっていく

 インターネットを中心としたICTが様々な領域における境目をあいまいにする、あるいは柔軟性を上げて、境目をこれまでのような固定的なものから自由に移動できるものに変化させています。

 一昔前であれば当たり前だった、「素人と専門家」という線引きも、例えばネット上の発信に関しては「プロ級」のブロガーや、実際にそれで生計を立てられるレベルに達する人も出てきています。質的な側面においても、それまでは「その道のプロ」でしか入手できなかったような情報まで、インターネットで簡単に入手可能になってきたため、素人でも専門家に負けない情報発信が可能になってきています。

 また、ソフトウエアのような製品のリリースも、従来であれば、ごく一部の例外を除いて、100%の完成品のみが市場に出ていました。ところが今は、まず未完成品の「ベータ版」をリリースし、そこで実際のユーザーに使ってもらいながら、完成度を上げていく(あるいは製品の発売そのものを取りやめる)と行った形での「半製品のリリース」という形態も増えてきています。

 つまり、「完成品と未完成品」の境界があいまいになっているということです。