「Hello」と「Heartbeat」は何が違うの?

(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

  今回の回答者:
NTTPCコミュニケーションズ
データセンタ事業部
ホスティングサービス部長
土居昭夫
ホスティングサービス部 サーバプラットフォーム担当 主査
萩原正浩

 かつて個人のホームページのURLといえば、「http://www.example.net/~user/」のように、「プロバイダーのドメイン名」の後ろに「/~ユーザー名/」を並べたものが一般的でした。「~」はチルダと読みます。ところが最近は、~が入っているURLはほとんど見かけません。これはニーズの変化と技術の高度化によるものです。

 URLの~は、Webサーバー内のユーザー領域を示します。これは、UNIX(ユニックス)で使われる一般的な書式です。例えばWebサーバー内のhomeディレクトリーの下にuserAというユーザー領域があり、ここにindex.htmlというWebページのデータが置いてあるとします。この場合、サーバー上のデータのパスは「/home/userA/index.html」ですが、~を使うことで/homeを省略し「~userA/index.html」と表記できます。

 インターネット普及期の90年代後半、プロバイダーはインターネット接続に加えて、個人用ホームページ開設サービスの提供を始めました。このとき、プロバイダーのドメイン名の下にユーザー領域があることを示す~が使われたのです。しかし数年後に個人向けドメイン取得サービスが始まると、独自ドメインのニーズが高まり、結果的に~を使わなくなっていきました。これがニーズの変化による側面です。

 一方で最近のブログや共用レンタルサーバーサービスでは、「userA.example.net」のように、ユーザー名をサブドメインに割り当てたURLが多くなっています。このようなURLは、Webサーバーソフト「Apache(アパッチ)」の機能の一つである「バーチャルドメイン」(バーチャルホスト)を利用しています。バーチャルドメインは、1台のサーバーで複数の仮想的なWebサーバーを立てる機能のこと。Apacheのバージョンアップに加え、WebブラウザーのHTTP1.1対応によって利用できるようになりました。つまり技術の高度化によって~を使わなくなったのです。