2014年4月9日、Microsoft Office 2003の延長サポートが終了します。マイクロソフト社はサポート終了後はセキュリティパッチの提供を終了すると発表しています。そのため、セキュリティ上の脆弱性が発覚したとしても修正パッチが提供されません。

 すでに、コスト削減などを目的に、オープンソースソフトウエア(OSS)のオフィスソフトであるLibreOfficeやOpenOfficeを導入する自治体や企業が増加しつつあります(OSS推進フォーラムによるOSSオフィスソフト活用事例集1活用事例集2)。サポートの切れたMicrosoft Officeに代えてOSSオフィスソフトを使用することが、オフィスソフトの2014年問題への対策のひとつであると言えます。

 今回は、事例からわかった、OSSオフィスソフトの業務利用を成功させるポイントを解説します。

ポイント1:トップダウンによる意思決定と、ユーザーの利用促進

 OSSオフィスソフトを業務利用で使うポイントの一つめは、トップダウンによる意思決定と、ユーザーの利用促進です。オフィスソフトの切り替えは現場のユーザーには手間が発生することになりますので、現場に強制力をもたせるためにも経営層の大局的な判断による会社方針と位置付けることが必要です。また、ユーザーの利用促進のためヘルプデスクや研修を用意したり、FAQ(よくある質問と回答)をイントラネットに掲載したりするなど準備を行うことも重要になります。

ポイント2:必要な人にはMicrosoft Office利用を認める

 ポイントの2つめは、Microsoft Officeが必要な人には利用を認めることです。OSSオフィスソフトとMicrosoft Officeは完全互換はありませんので、すべてのPCから削除するのは現実的ではありません。OSSオフィスソフトが社内標準のオフィスソフトであることが原則ですが、例えば高度な機能を使って資料作成を行う、外部の方とファイル交換を編集作業を行う、巨大なExcelマクロを使っている方は、それらの利用に限定して、例外的にMicrosoft Officeの利用を認めます。

ポイント3:社内標準ファイル形式をOSSオフィス標準に

 OSSオフィスソフトを業務利用で使うポイントの3つめは、OSSオフィスソフトを全社標準のオフィスソフトとするだけでなく、社内のファイル形式もOpen Document Format(略称:ODF)を標準とすることです。OSSオフィスソフトは国際標準規格であるODFと呼ばれるファイル形式を採用しています。ODFは、XMLをベースとしたオフィス文書のファイル形式です。2005年構造化情報標準促進協会(OASIS)および、2006年国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)によって、ISO/IEC 26300として標準規格に認定されており、2010年2月に日本工業規格(JIS X4401)に制定されました。

 Micorosoft OfficeとOSSオフィスソフトは完全互換はありません。OSSオフィスソフトおよびODFを標準とすることにより、社内を流通するファイルはOSSオフィスソフトで作成したODFをOSSオフィスソフトで開くことになりますので、表示のズレが発生することはありません。

ODPGによる導入ガイド

 OSSオフィスソフト導入済もしくは検討中という企業や団体が集まり意見交換を行う場として「ODPG」が設立されています。ODPGのサイトではOSSオフィスソフトの導入をこれから検討してみようという方向けに『OSSオフィスソフト導入ガイド』が公開されています。ガイドではコスト・シミュレーションによる費用削減効果や、導入における考慮点、各社の導入事例などが紹介されているので参考になります。一度のぞいてみてはいかがでしょうか。