2013年10月18日、米アップルはApp Storeのアプリ販売価格レートの見直しを実施した。従来、0.99ドル当たり85円だったレートが、円安の影響から0.99ドル当たり100円となった。これにより、有料アプリや有料アドオンの価格が突如値上げされることとなり、マーケットに多くの混乱をもたらしている。

 海外運営のアプリマーケットならではともいえるレート見直しに、国内のアプリ開発者はどのような対応をとるべきなのだろうか。今回起きた事象から考えてみよう。

レート見直しでアプリの最低価格が突然値上げ

 App Storeで販売されているアプリの価格は、日本では「円」で表示されているが、運営するアップルは米国の会社であることから、日本での売上も「ドル」として得ている。App Storeでは従来、円とドルの交換価格レート(Tier)を0.99ドル当たり85円に設定していた。App Storeでの最低価格(Tier1)が85円となっていたのは、このレートに合わせていたためだ。

 レートが設定されたのは2011年7月のこと。当時の為替相場は1ドル当たり80円前後だった。最近の為替相場は1ドル当たり95~100円前後と、以前と比べ大幅な円安傾向にある。現在の相場がApp Storeの設定レートとずれてきたことから、アップルは日本時間の10月18日、App Storeのレート見直しを実施した。これによりTire1が0.99ドル当たり100円に設定され、事実上アプリ価格が値上げされる形となったわけだ。

 各種報道によると、開発者にはレート変更の前日に通知があったという。だが、通知から変更の実施までの期間が1日程度と非常に短かったため、すべての開発者がユーザーへ通知を十分にできているとは考えにくい。そうしたことから、多くのユーザーには「一夜明けたら突然アプリが値上げされている」という印象を与える結果となり、マーケットに大きな混乱をもたらした(写真1写真2)。

写真1●2013年10月17日時点の「トップ有料」ランキング(一部)
写真1●2013年10月17日時点の「トップ有料」ランキング(一部)
85円と100円のアプリが混在しているのがわかる。
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写真2●2013年10月18日時点の「トップ有料」ランキング(一部)
写真2●2013年10月18日時点の「トップ有料」ランキング(一部)
前日まで85円だったアプリがすべて100円に変更されている。
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