写真1●Squareリーダーをスマートフォンに装着してクレジットカード決済をしている様子
写真1●Squareリーダーをスマートフォンに装着してクレジットカード決済をしている様子
[画像のクリックで拡大表示]

 米スクエアが提供する「Square」はスマートフォンやタブレットといったモバイル機器でクレジットカード決済を可能にするサービスである。中小企業や個人事業主は手持ちのスマートフォンやタブレットのイヤフォンジャックに、無料の小型カードリーダーを接続し、アプリケーションをダウンロードするだけで、VISAかMasterのクレジットカードによる支払いを受けられる(写真1)。

 スクエアは2010年に米国でサービスを開始した新興企業。3年で300万の加盟店を集め、年換算取扱高は150億ドルに達したという。2013年5月には三井住友カードと業務提携し、日本市場に参入した(関連記事:米Squareが日本でスマホ決済、三井住友と組みカード決済を中小企業に展開)。

 中小企業や個人事業主が利用しやすいように、カードリーダーとアプリを無料で提供し、決済手数料を米国では2.75%、日本では3.25%と通常より低く設定している。また、カード決済した代金は、最短で翌営業日に振り込めるようにしているのも特徴だ。

 Squareは現在、アップルのiPhoneやiPad、Android搭載のスマートフォンやタブレットで利用できる。利用するにはまず、スクエアのWebサイトから申し込む。すると「Squareリーダー」が送られてくる。

写真2●ローソンの店頭で販売されているSquareリーダー
写真2●ローソンの店頭で販売されているSquareリーダー
[画像のクリックで拡大表示]

 2013年8月からは、コンビニエンスストアのローソンでSquareリーダーを購入できるようになった(写真2)。リーダーは980円だが、購入後に申請すれば1000円が振り込まれるため実質無料である。

 次に、無料の専用アプリ「Squareレジ」をあらかじめスマートフォンかタブレットにダウンロードしておく。Squareレジを起動し、Squareリーダーでクレジットカードの磁気部分をスキャンすると、カード情報が暗号化されてスクエアのサーバーに送信され、決済処理が完了する。スクエアによって、決済した金額から手数料が引かれた金額が、指定の銀行口座に振り込まれる。

 これまでクレジットカードで決済をするにはカード会社と契約を結び、数万円の専用端末を設置する必要があった。中小企業や個人事業主にとっては、初期導入コストや決済手数料の負担が大きかった。

商業活動を対話のように簡単に

写真3●米スクエアのジャック・ドーシーCEO(最高経営責任者)
写真3●米スクエアのジャック・ドーシーCEO(最高経営責任者)
[画像のクリックで拡大表示]

 米スクエアのジャック・ドーシーCEO(最高経営責任者)は、「売る、買うといった商業活動を会話のように簡単にしたい」と話す(写真3)。

 中小企業や個人事業主にとっては、カード決済に対応することで顧客に商品やサービスを利用してもらう機会が増え、利用単価の上昇が期待できる。

 さらに個人間の金銭のやり取りでもSquareは利用可能だ。例えば、米国では個人がベビーシッターへの支払いにSquareを利用しているという。スクエアはローソンでリーダーを販売しカード決済をより身近なものにするなど、日本でもこうした用途を開拓する戦略を採る。

 一方、米ペイパル、楽天、ベンチャー企業のCoineyなどが、やはりスマートフォンやタブレットを活用したクレジットカード決済サービスを国内外で提供している。各社のサービス競争が激しくなることで、モバイル機器でクレジットカードを利用するシーンが広がりそうだ。