Yammerだから、山の形をかたどった、その名もズバリ「やまーちゃん」──。ダジャレがそのまま、社内専用の「ゆるキャラ」になって、Yammerを盛り上げる(写真1)。今日は、そんな話をしよう。

写真1●NTTLSが作成した社内SNSのためのキャラクター「やまーちゃん」
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 組織の壁を乗り越えたい、部門間でナレッジを共有したい、組織風土を変えたい……。こうした思いから、社内SNSの導入に踏み切る企業が現れたのは、ここ数年のことである。それ以前にも、グループウエアやイントラネットが同様の目的で使われることはあったが、昨今はFacebookの流行もあって、社内でもSNSを運用しようという機運が徐々に高まってきていた。

 だが、いざ取り組んでみると、普及させるのは意外に難しい。Facebookは個人で楽しむから広がるのであって、社内利用となった途端に、上下関係の煩わしさ(ソーシャルハラスメントを含む)や公私の境目の判断が結構難しく、ハードルが一気に高くなる。社員の書き込みが増えないまま、社内SNSは使われなくなるという、“よくある”現象も既に報告され始めている。

 そんななか、最近、社内SNSを会社ぐるみで盛り上げようと奮闘する企業を取材する機会があったので紹介したい。eラーニングサービスなどを提供するNTTラーニングシステムズ(NTTLS)である。NTTグループというと何かとお堅いイメージもあるが、NTTLSはあの手この手で社内SNSの普及に努めてきた。

 その象徴が冒頭で紹介した、やまーちゃんである。NTTLSが採用した社内SNSは、米Microsoftが2012年に買収した米Yammerのサービス、Yammerである。

 Yammerの利用というと、日本ではガリバーインターナショナルや楽天での事例が知られている(関連記事:ガリバーインターナショナル、米国発の社内SNSでナレッジ共有)。そして現在までに、国内には数百社のYammerの導入事例があるという。実はNTTLSも米Yammerが買収される前の2011年4月から試行を始め、2012年4月には「Yammer社内利用推進事務局」を立ち上げて本格利用を開始し、これまでに約1年半、社内SNSに取り組んできた実績がある。

 事務局には若手社員が11人集められ、そこでの発案で生まれたのがやまーちゃんだった。

 プロジェクトにユニークな名前を付けるのはよくあることだが、NTTLSはやまーちゃんに“人格”まで持たせた。やまーちゃんが社内SNSでコメントしたり、時にはけんか(炎上)の仲裁に入ったりする。

 口癖は「○○やま~」。ゆるキャラらしく、なごみ系のコメントで、社内SNSのつぶやきを盛り上げる人気者だ。放っておかれている書き込みを見つけると、すぐにやまーちゃんが一言つぶやいてフォローするなど、忙しい日々を過ごしている。

必ず一度はYammerに触れる機会をバトンで作る

 言うまでもないが、実際にはやまーちゃんを社内で“運用”している人がいる。それが事務局の役目だ。事務局がやまーちゃんのアカウントを作って、ゆるキャラを“演じて”いる。

 上司や先輩の書き込みにも、やまーちゃんなら遠慮なく突っ込みを入れられる。こうして若手主体で「まずYammerの面白さを知ってもらおうと思いました」(インタラクティブコミュニケーション事業部の酒井奈々氏)。