本誌が実施した「企業ネット/ICT利用実態調査 2013」の結果、WANサービスの最新利用動向が分かった。IP-VPNの利用率ではNTTコミュニケーションズ(NTTコム)の「Arcstar IP-VPN」が首位に復帰。広域イーサネットではKDDIの「KDDI Powered Ethernet」が今年もトップとなった。L2/L3混合型サービスではNTTコムが猛追し、KDDIとほぼ横並びになった。

 本誌は毎年、上場企業など3200社を対象とする「企業ネット/ICT利用実態調査」の中で、WANサービスの利用状況を調べている。ここでは本年の調査から、WANサービスのタイプ別に利用率を紹介しよう。

新型WANでNTTコムがKDDI猛追

 新型のWANサービスとなる「レイヤー2/レイヤー3(L2/L3)混合型サービス」では、提供時期で先行したKDDIをNTTコミュニケーションズ(NTTコム)が追う展開になっている。前回調査までは両者の差が30ポイント近く開いていたが、今回調査ではKDDIの利用率が46.1%、NTTコムが41.8%となり、約4ポイント差まで縮めた(図1)。

図1●L2/L3混合型のサービス別利用率
図1●L2/L3混合型のサービス別利用率
NTTコミュニケーションズとKDDIの差が詰まってきた。2011年と2012年は回答数が100以下なので小数点以下を表示していない。
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 KDDIは「KDDI Wide Area Virtual Switch」(KDDI WVS)の提供を2009年7月に開始した。当初はデータセンターにサーバーを統合する企業に向けたWANサービスという位置付け。データセンター拠点のアクセス回線で、一時的に契約品目を超える速度で通信可能というのが売りだった。2010年5月にサービス内容を大幅拡張して現行サービスに生まれ変わった。

 サービス拡張以降は、IP-VPN(L3)と広域イーサネット(L2)を網内で相互接続して、同一サービスとして提供できるのが大きな特徴となっている。L3ネットワークに接続する拠点と、L2ネットワークに接続する拠点を一つのVLAN内に収容できる。ルーター機能を網側で提供して、ユーザー拠点をルーターレスにすることも可能だ。

 NTTコムは2011年5月に「Arcstar Universal One」の提供を開始した。KDDI WVS対抗と位置付けられるサービスで、内容も近い。KDDI、NTTコムともに既存のIP-VPNや広域イーサネットを置き換える売り込みをしている。