日産自動車は2013年10月、家電とITの国際展示会「CEATEC JAPAN 2013」において、開発中の自動運転技術を国内で初披露した(写真)。ホンダとマツダも初めてCEATECに出展。ITとの融合で競争力強化を図る自動車メーカーの動きが、改めて浮き彫りとなった。

写真●日産自動車が「CEATEC JAPAN 2013」で国内初出展した自動運転車(左)と運転席(右)
写真●日産自動車が「CEATEC JAPAN 2013」で国内初出展した自動運転車(左)と運転席(右)
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 日産が出展したのは、電気自動車「リーフ」をベースにした自動運転車だ。車両に5つのレーザースキャナーと5つのカメラを搭載し、地図データと照合しながら周囲の状況を分析。会場に設置されたコースを自動走行した。交差点で対向車とすれ違い、周囲の状況を判断しつつ、路上駐車している車を追い越す様子などを見せた。

 会場で試乗した日産のカルロス・ゴーン社長は「2年前の実験車に比べ、技術が格段に進化した」と自信を示した。

 特徴は、周囲の状況に応じて車両の動きを制御する「人工知能」を日産が独自に開発していることだ。開発に携わる同社総合研究所モビリティ・サービス研究所の井上秀明主管研究員は「(将棋ソフトのように瞬時に)数手先を読み、複数の中からベストな選択肢を選んでいる」と説明する。

 日産は2020年までに自動運転車を市販すると公表しているが、米グーグルや独ダイムラーも実用化を急いでいる。ライバルに先駆けるため、日産は米シリコンバレーに拠点を構え、現地の大学やIT企業との連携を強化する。

 マツダは運転手のスマートフォンを車載システムと連携させる「Mazda Connect」を出展した。インターネットラジオやSNSなどを車内で簡単に利用できるようにする。将来は、走行情報などをスマホ経由でクラウドに蓄積し、分析することを目指す。

 ホンダはタブレットとWi-Fiを利用した、車車間通信システムを参考出展した。近くを走っている自動車同士が直接通信することで、事故の情報をいち早く共有したり、渋滞を迂回したりできるようになるという。

 自動運転や車載システムのIT連携といった分野が、今後、成長を続けるのは間違いない。この市場とどう向き合うかで、国内IT企業の成長力が左右されそうだ。