森本 登志男氏
森本 登志男氏
佐賀県 統括本部 最高情報統括監

 2日め午後は、岐阜県知事公室長在任時にフォーラムの初代会長を務めた佐々木浩鹿児島県副知事の特別講演に続いて、今後の都道府県の情報政策のあり方を議論した。初めに佐賀県統括本部の森本登志男最高情報統括監が「佐賀県ICT利活用推進計画に込めた思いと情報政策の役割」について報告した。

 佐賀県ICT利活用推進計画は、2008年5月策定の「さがICTビジョン2008」に続く第2弾。今年度から2年間の計画だ。前計画との違いは「ビジョンではなく計画にした。主管課を設定し、計画遂行の責任を持たせた。具体的には工程表を作成させ、成果指標を明記し、年2回評価・検証を実施する」(森本氏)。

 これは前回のICTビジョンの反省に基づく。前回施策の中では、救急車へのiPad搭載(受け入れ可能な医療機関を検索し素早く患者を搬送)や、学校教育へのICT活用(校務管理・学習者管理・教材管理の一体支援システム)への評価が高く、現在も多くの視察者が訪れる。「前者は総務大臣賞までもらったが、実はこれらは当初の構想には入っていなかった」と打ち明ける。

 成果を上げられなかった施策に関しては「主管課が明確でなかったのが最大の原因。今回はそれを改め、PDCAサイクルを回してチェックする体制を整えた」。全28課と合意に至るまで話をし、担当課が決まらなかった施策は本部長決裁で決めた。最初の検証では、ABCの3段階評価で6割超が「A」だった。「各課が達成可能な数字しか挙げなかったから。反省点の一つ」(森本氏)。

 ワークスタイル変革を目標にiPadを100台配る計画には、台数の2倍の応募があった。「畜産試験場、土木事務所など出先の多い部署や、営業的な仕事をする部署を中心に配りたい」(森本氏)。「タイトルの“思い”は、佐々木初代会長の“ロマン”と同じ意味。現計画でも、若い職員から『お役所仕事の定義を変えよう』という声が、どんどん上がってきている」と、力を込めた。