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2日めの冒頭では、フォーラム会長の桑原広島県CIOが、10周年ディスカッションの企画説明として、過去10年の電子行政の取り組みを振り返り、ITガバナンスが機能していない点を課題として指摘した。
午前の10周年ディスカッション1は、「新しい行政サービスの姿」がテーマ。まず熊本県の島田政次情報企画監が、県・熊本市・NTT西日本の3者で包括連携協定を結んで進めているITを利用した街づくりプロジェクト「スマートひかりタウン熊本」の取り組みを報告した。
これまで県としては、空港からの交通案内などを掲示するスマートエアポート、無線LANによるスマートフォン向けのエリア情報配信(ブッシュ型)などを実施。「県は事業者に向けてモデル事業を実施し、事業者が住民に直接サービスを提供する委託パターンが望ましい。市町村の推薦を条件に、事業者の公募も考えている」と説明する。また「基盤整備は迅速に進めている。あまりお金をかけない小規模なモデル事業を多数展開していきたい」と語った。
オープンデータの取り組み始動


自治体では数市が取り組み始めている新しい行政サービスであるオープンデータについては、静岡県が8月27日に「ふじのくにオープンデータカタログ」を開設し、31種類のデータの提供を始めたことを報告した。企画広報部の野村秀樹情報統計局長は、「まだベータ版なので企業からも様々な要望が欲しい。現段階では横断歩道、地下歩道の情報などの位置情報、ボーリング柱状図などの東海地震に備えた地質情報、富士山ビューポイントやみずべ100選などの観光情報が多い」と説明した。
京都府政策企画部の原田智情報技術専門監は、府と市町村で共同運営する統合型GIS(地理情報システム)について述べた。「開始から6年たち、ハザードマップや避難情報、観光スポット、文化遺産、文化財データベースを整備してある」。
総務省の実証事業「地域経営型包括支援クラウドモデル」に参加している件については、「官民連携でデータを整備し、スマートフォンのアプリなどで見られる形で公開する。内容は、災害時の避難経路、観光スポットへの案内など観光振興・防災対策。国には全国で使える観光データベース基盤をクラウド上に作る構想もあるようだ」と説明した。