中間サーバーの設置主体に関する迅速な情報提供への要望は、すでに県レベルでの共同化を検討中の団体からも相次いだ。
福岡県は、県と33市町村で構成する「ふくおか電子自治体共同運営協議会」で番号制度への対応も検討してきた。「県単位での中間サーバーの共同利用を検討している。IaaS注1)を調達し、これをベースに実施すると決めた。全国一律だと見直しが大きい。すでに市町村に声をかけており、早めの情報提供をお願いしたい」(企画・地域振興部情報政策課の古保里学情報企画監)。
和歌山県企画部の駒井哲夫政策統括参事は、「クラウド化によるシステム共同利用を目指し、電子自治体推進協議会を運営している。中間サーバーの共同利用を、クラウド化をまとめるてことして利用したい。できるだけ早く情報が欲しい」と訴えた。埼玉県企画財政部情報システム課の横田淳一主幹は、「63市町村で構成する電子自治体推進会議で、可能であれば中間サーバーを共同利用するとしているが、具体的な検討には入っていない」と報告した。
宛名システムの整備に不安の声
宛名システムに関する質問も多かった。市町村と異なり住民情報を扱う事務が少ない都道府県では、複数業務にまたがる宛名管理システムを運用中の団体は限られ、統合宛名システムとなるとほぼ皆無だからである。愛知県地域振興部情報企画課の加藤博主幹は、「改修ではなく、一から構築する場合の見積もり方法などを示してほしい」と要望した。
山形県の吉川氏は、宛名システムの名寄せについて「基本4情報注2)を持 っているシステムがないので、厳密な名寄せができない。住民基本台帳の基本4情報を宛名システムのために使えるよう、法律の改正をお願いしたい」と要望した。これに対し総務省の山本氏は、「5月の関連法改正によって、別表第二注3)に掲載されている行為の準備行為として可能になったという認識だ。再度確認して今後の説明会で報告する」と回答した。
庁内の認証基盤を整備済みの新潟県からは、「中間サーバーなどのセキュリティの水準はどうなるか」(総務管理部情報政策課の冨塚義浩情報主幹)との質問が出た。総務省の山本氏は、「中間サーバーと宛名システムは、担保すべきセキュリティ基準を国から示す。宛名システムは、中間サーバーほど細かい粒度にはならないだろう」と答えた。