スマートフォンを使った臨床検査がアメリカの医療機関で始まっている。スマートフォンに医療センサーを装着し、心電図、血糖値、血圧を測定する方式で、フィールド・トライアルが行われている。従来は、消費者向け検査ツールとして提供されてきたが、医療機関はスマートフォンを媒体とする検査方式に熱い視線を注いでいる。

出典: AliveCor, Inc.

スマートフォンで心電図を測定

 AliveCorはSan Francisco (カリフォルニア州) に拠点を置くベンチャー企業で、スマートフォンを利用して心電図を測定する装置を開発している。これはAliveCor Heart Monitorという製品 (上の写真) で、スマートフォンに装着するジャケットとして提供される。下段の写真はスマートフォン背面で、ジャケットには電極 (楕円形の部分) が二枚あり、被験者はここに指をあて、心電図を計測する。スマートフォンには専用アプリAliveECGをダウンロードしておく。30 秒程度のデータが計測され、結果はスマートフォンのディスプレイに表示される (上段の写真)。Heart Monitorは、両手の指を電極にあてるだけで、簡単に検査できるのが特徴である。現在、Heart MonitorがサポートしているスマートフォンはiPhone 5、4S、および4である。Heart Monitorで測定したデータは、ワイアレスでスマートフォンに転送される。検査前に、Heart MonitorとiPhoneのペアリング操作は不要である。AliveCorは通信仕様の詳細情報は公表していないが、測定したデータは音声シグナルに変換され、マイク経由でiPhoneに入力される模様。このため、接続のためのハードウエア機構は不要で、かつ、セキュアにデータを転送できる。

出典:AliveCor, Inc.

専用アプリで検査結果を閲覧・コメント記入

 前述の通り、利用者は事前にスマートフォンに専用アプリAliveECG (上のスクリーンショット) をインストールしておく。測定した心電図はAliveECGに表示され、利用者は氏名、性別、体重、年齢など、付帯情報 (スクリーンショット左側) を入力することができる。また、測定時の症状などについて、ボタンにタッチして入力 (同右側) する。測定データはクラウド(AliveCor ECG Server) に自動でアップロードされ、利用者は測定データにパソコンなどからアクセスすることができる。クラウドはHIPAA (医療関連データの機密保持を義務づける法令) に準拠しており、データは暗号化され、安全に保存される。