図1●ラオスはインドシナ半島の中心部に位置し、中国やベトナム、タイ、ミャンマー、カンボジアと国境を接している(外務省のサイトより)
図1●ラオスはインドシナ半島の中心部に位置し、中国やベトナム、タイ、ミャンマー、カンボジアと国境を接している(外務省のサイトより)

 ラオスがどこにあり、どんな国かご存知だろうか。日本のメディアに取り上げられる機会が少ないため、あまり認知が高くないかもしれないが、昨今、熱い視線を浴びている東南アジア諸国の中でも、GDPで年率8%前後とトップクラスの経済成長を続けている新興国である。中国やタイに続く次の国という意味で、「チャイナ・プラス・ワン」「タイ・プラス・ワン」を考える時に重要な役割を果たすだろうといわれる。

 場所はインドシナ半島の中心部に位置し、中国やベトナム、タイ、ミャンマー、カンボジアと国境を接している内陸国である(図1)。特にタイとは民族的、文化的、経済的にもつながりが深く、ラオ語(ラオス語)はタイ語と非常によく似ている。実際に、ラオス人はタイ語をそのまま理解できるため、最近ではニコンやトヨタ紡織などタイに進出している日系企業の「サテライト工場」としての進出も相次いでいる。

「インドシナのバッテリー」は電気料金も安価

 正式名称はラオス人民民主共和国で、政治的には社会主義体制をとっているため、近寄りがたい印象を抱く日本人も少なくないが、都市部の発展には目を見張るものがある。むしろ政治的には東南アジアでトップレベルで安定しており、社会主義体制ながら経済的にもそれを感じさせないほど活気にあふれている。首都のヴィエンチャンでは複数の大規模な開発プロジェクトが進行中で、まるで日本の高度成長期を彷彿とさせる。

 「ラオスを訪れた人は、必ずまたラオスに戻ってくる」といわれており、治安も良好な上に街中も清潔で、素朴な人々や自然に触れてファンになる日本人も多いという。

 周辺国と比べて手特筆されるのは電力事情だ。メコン川流域の豊富な水資源により、各地で水力発電所の建設が進み、電力が主要産業の一つになっている。そのため電力事情は安定しており、隣国ミャンマーのように日々停電に悩まされることはない。逆にタイなどへ売電を行っていることから、「インドシナのバッテリー」というあだ名も付けられている。必然的に電気料金も安価で、カンボジアの3分の1程度だ。