アベノミクス、クラウド、ビッグデータ─。今年の「顧客満足度調査」では、これらのキーワードが企業情報システムに与えている影響が大きく映し出された。

 景況感の改善を受け、システム設計・開発に関連する調査のカテゴリー(部門)の回答数が急増。クラウドやビッグデータ関連部門の回答数も大きく伸びた。さらに、顧客満足度の調査結果に基づくITベンダーのランキングは大接戦だった。クラウド銘柄をはじめ、初の栄冠を獲得するITベンダーが相次いだ。

 調査に回答したユーザー企業のCIO(最高情報責任者)やシステム部長など、製品・サービス導入に責任を持つ1725人の“意思決定者”は、ITベンダーをどう評価したのか。今年の傾向を紹介する。

15部門で首位が変わる

図1●第18回 顧客満足度調査における首位企業の分布
図1●第18回 顧客満足度調査における首位企業の分布
[画像のクリックで拡大表示]

 前回調査と比較可能な24部門のうち15部門で首位が交代した(図1)。首位が入れ替わった数は、前回が13部門、前々回は12部門である。今年の顧客満足度調査は、近年でまれにみる激戦だった。

 首位交代の15部門のうち7部門は、初栄冠を手にしたITベンダーである。例えば、デスクトップPCではデルが、ノートPCではパナソニックが、それぞれの部門で初めて顧客満足度1位を獲得した。15部門のうち残りの8部門は、過去に1位を獲得したITベンダーによる首位奪還だ。例えば「ITコンサルティング/上流設計関連サービス」部門では、日本IBMがメーカー分野で4年ぶりの首位奪還。NECネクサソリューションズは「システム開発関連サービス」部門の情報サービス会社分野で9年ぶりに首位に返り咲いた。「PCサーバー」「メインフレーム」「ストレージ専用装置」の3部門では、日立製作所が2年ぶりの首位だ。

 首位交代の影響をもろに受けたのが富士通グループだ(図2)。前回は8部門で顧客満足度1位を獲得したのだが、今回は無冠だった。日本IBM、日立グループ、NECグループは1位獲得の部門数を増やした。

図2●メーカー系4社における首位獲得部門数の推移
図2●メーカー系4社における首位獲得部門数の推移
[画像のクリックで拡大表示]

僅差で勝敗が分かれる

図3●1位と2位の総合満足度の差
25部門における分布。2位不在の「データベース(独自OS系)」を除く
図3●1位と2位の総合満足度の差
[画像のクリックで拡大表示]

 めでたく1位を獲得したITベンダーであっても、楽観視することはできない。2位が不在の部門を除いた25部門において、ほぼ4部門に一つ(7部門、28.0%)は1位と2位の差が1ポイント未満だった。全体の約7割(18部門)は、3ポイント未満の差だ(図3)。

 例えば、「システム開発関連サービス」部門のメーカー分野では、1位の日本IBMと2位の日本ユニシスとの差はわずか0.1ポイントである。「ネットワーク機器」部門と「ネットワークサービス(有線型)」部門でも、1位と2位の差は0.1ポイントだ。