猛暑にゲリラ豪雨に竜巻。異常気象に翻弄された夏が終わったと思ったら、台風の季節がやってきた。レジャーの予定もなかなか立てにくい。

 今や気象データの活用は企業にとっても重要な課題となっている。メーカーも小売りも外食も、長期、短期の気象予測に気を配り、精度の高い予測データの入手に奔走する。エステーの鈴木喬会長も「気象予報士を採用してマーケティングを教え、売れる法則を見つけたい」と話している。

データ戦略部が台風攻略

 天気の影響が強い業界の1つがゴルフ場。日本のゴルフ場の商習慣では、顧客が予約をキャンセルしてもペナルティー(罰金)が発生しないので安易なキャンセルが発生しやすい。台風予報が出ようものならキャンセルが殺到し、収益予測が大きくずれる。

データ戦略部の正司真美シニアマネージャー
データ戦略部の正司真美シニアマネージャー

 そこで、天候の変化も織り込んだ需要予測の仕組みを作り上げようとしているのが、ゴルフ場運営大手のPGMホールディングス(東京・港)だ。2013年からキャンセル率の予測精度向上に取り組んでいる。社長室にデータ戦略部を設置し、正司真美シニアマネージャーが分析を担当する。

 過去の予約や実績のデータを基に、シーズンや天候によってどの程度キャンセルが出るかを予測する。2013年6月に台風が上陸した際には、上陸予報が出た18日からのキャンセル率を見極め、割安なプレーフィーを提供するなど積極的な販促を打つことで、上陸予想日の22日にもほぼ予定通りの客数を確保した。

料金×稼働率を最大に

 精緻な需要予測に取り組むのには理由がある。同社は「レベニューマネジメント」という経営手法を取り入れている。設備の稼働率に応じて柔軟に価格を変更して収益を最大化するもので、ホテルやエアライン、鉄道などで採用が進んでいる。

 具体的な手法はこうだ。プレー当日の稼働率を最終的な着地点として、そこに至るまでの需要予測カーブを描く。予約数がこのカーブに乗るように、価格を調整して集客を進める。