ベンチャー企業にとって、創業メンバーの重要性はよく言われることです。創業時のメンバーが、事業の成否を左右します。ブランク氏は、創業メンバーを一括りにせず、創業者、創業チーム、創業CEOの3種類を明確に定義しました。(ITpro)

 偉大な創業者の資質に関してはたくさん書かれていますが、何が偉大な創業チームを形作るのか、そして、それが偉大な創業CEO(最高経営責任者)とどう違うのかに関して書かれたものは、多くありません。

 私は、これら三者(創業者、創業チーム、創業CEO)の役割を定義するのがこれまで曖昧だったと思います。その結果、創業者たちに、偉大な創業チームを創設するにはどうすればいいのかを理解してもらうのに、失敗していたのです。

 私の定義は、以下のようになります。

創業者とはアイデアである

 創業者とは、原点となるアイデア、科学的発見、これまでにない画期的な技術、洞察力、詳細な問題把握、情熱などを備えた人です。通常は、創業者が共同創業者を募集し、自身は創業チームの一員となって、日常の会社運営に参画します。(例外として、ライフサイエンスのようなある種の産業では、創業者は終身教授の地位を確保した教授であり、教授の地位を辞任せずにスタートアップ企業の科学諮問委員会の会長として参画し、創業チームの一員にはなりません)

 “アイデア”を持つ創業者に関して2つの警告があります。特許が申請された(あるいは、これからされるかもしれない)アイデアと、学生寮で深夜浮かんだアイデアとを区別することが大切です。私の生徒たちが最も理解に苦しむ概念の一つは、「アイデアは会社ではない」ということです。現実には、ほとんどの場合において、あるアイデアを商業化する企業がなければ、アイデアには価値がありません(特許“荒らし”以外は)。

 創業者が創業チームの一員になったとしても、アイデアを考えついた創業者が主導的役割(CEOや副社長)を担うことは保証されません。創業者がCEOであることが当然ではないかもしれないという考えは、一部のアントレプレナーにとっては驚きです。「どうして私がCEOではないの?これは、私のアイデアです!」と聞くたび、創業CEOの特殊性や、実際に会社を構築するのに必要なことを、この創業者は全く分かっていないのだと不安になります(本投稿を読み続けて、役割の違いを理解して下さい)。

創業チームとは、企業の礎である

 創業チームには、創業者と創業者の技能を補完する技能を持った共同創業者が含まれます。このグループが企業を構築します。彼らの目標は、最初のアイデアから、繰り返しが可能で拡張できるビジネスモデルを探し求めることです。すなわち、最初に製品と市場の適合性を見つけ、その後ビジネスモデルの全ての要素(価格、販売チャネル、顧客獲得/活性化、事業パートナー、コストなど)を検証します。

 Webやモバイルのスタートアップ企業の場合、創業チームはハッカー、ハスラー(精力的に仕事のできる人)とデザイナーで構成されるのが標準的です。別の分野では技能の組み合わせが異なりますが、重要なのは、創業チームの構成員が補完的な技能を持つことです。

 創業チームの人数には「正しい数」はありませんが、2~4人が妥当なようです。創業チームを構成するときに陥る最大の誤りは、必要な技能を考慮するのではなく、いま誰がそこにいるのかで決めることです。

 創業チームのメンバーに必要な人かどうかを見極めるための、2つの質問があります。それは、「その人がいなくても会社は構築できるか」と「その人と同じような人がいるか」というものです。もし、両方の質問の答えが「NO」ならば、その人は共同創業者です。もし、いずれかの質問の答えが「YES」なら、その人の採用を少し遅らせ、初期の従業員として後日雇うことです。

 創業チームに参加するアントレプレナーの主な特性は、情熱、断固とした決意、弾力性、粘り強さ、俊敏さと好奇心です。もしチームメンバーが過去に一緒に働いたことがあればよいのですが、何よりもお互いを尊敬し合っていることが基本になります。そして、最も大切なのは、お互いを信頼することです。あなたは、共同創業者の行動と、その人が言った通りに責務を果たすこと、そしてあなたをサポートしてくれることを信じなければなりません。

 創業チームの問題で失敗するスタートアップの大多数は、共同創業者がお互いをよく知る前に、「Startup Weekend」などのイベントで一緒に時間を過ごしたとか、インキュベーターで一緒に働いたといった程度で、創業するために急いで一緒になったからです。

 誰でもアイデアを持ってます。創業チームの勇気、情熱、粘り強さが、アイデアをビジネスにするのです。