KDDIと沖縄セルラー電話(au)は2013年8月26日、au携帯電話の法人向けサービス「オフィスケータイパック」の提供を開始した。固定電話との通話料が3分当たり8.4円となる、携帯電話で固定電話や構内PHSを代替するサービスとなる。先行するソフトバンクテレコムの「Bizダイヤル」に対抗し、携帯電話での0AB~J番号の利用条件で一歩踏み込んだサービス内容としている。

 携帯電話をオフィスの固定電話の代わりに使う─固定電話を不要にする新種の携帯電話サービスが台頭してきた。8月26日にauが「オフィスケータイパック」を開始。2012年から類似サービスを提供中のソフトバンクテレコムと合わせ、ユーザーは複数のサービスから選択できるようになった。

 新種のサービスの特徴は(1)電話料金が固定電話とほぼ同等、(2)発着信に0AB~J番号や050番号など固定電話の番号を使える、(3)同一事業者の携帯電話への発信は通話料が無料─の3点だ。「対象は内勤者。場所に縛られない働き方を提供する、構内PHSの置き換えと位置付けている」(KDDIの中馬和彦ソリューション事業企画本部事業企画部副部長)。

 従来サービスのNTTドコモの「オフィスリンク」、KDDIの「ビジネスコールダイレクト」、ソフトバンクテレコムの「ホワイトオフィス」はいわゆるFMCタイプで、携帯電話を内線電話端末として使える点は新種のサービスと似ている。ただし、従来のFMCサービスは内線番号で発着信、転送できることを重視しており、外勤者の利用を中心に据えたサービスだった。

特番付加で0AB~J番号を通知

 auのオフィスケータイパックは、企画系の内勤者をターゲットに直販で売り込んでいく。既に日本精工(NSK)とは導入に向けた検討が進行中という。

 同サービスは新しい携帯電話料金プラン「オフィスケータイプラン」と、携帯電話を使って固定電話番号で発着信するオプションサービス「固定電話番号通知」の2つから成る。

 オフィスケータイプランは固定電話宛ての通話が3分当たり8.4円と、固定電話から発信した場合の料金と同等。au携帯電話への発信は通話料がかからない。au以外の携帯電話への発信は3分当たり42円と割高に設定。10台以上の申し込みが利用条件となる。

 KDDIの中馬副部長は「内勤者の電話は固定電話との通話が全体の8割を占める。残りの2割は携帯電話だが、ほとんどは社員との通話」と分析する。日常業務は無料通話となるau携帯電話との通話(社員との通話)、3分8.4円の固定電話との通話(社外との通話)でほぼ完結するという予想だ。

 固定電話番号通知は0AB~J番号や050番号を使って携帯電話で発着信できるようにするサービスだ(図1)。あらかじめ携帯電話と1対1で対応した0AB~J番号か050番号を設定しておく。発信時には特番(007726)を相手先の電話番号の前に付加してダイヤルする。すると、通話相手のナンバーディスプレイには、ユーザーが指定した0AB~J番号や050番号が表示される。相手がその0AB~J番号や050番号に発信した場合、ユーザーの携帯電話に着信する。

図1●auの新サービス「オフィスケータイパック 固定電話番号通知」の概要
図1●auの新サービス「オフィスケータイパック 固定電話番号通知」の概要
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 特番を自動付加する機能も用意する。iPhoneとAndroidスマートフォンではダイヤラーアプリを提供。そのアプリから電話をかけると自動的に特番を付加して発信する。フィーチャーフォンは標準機能の電話帳で同様の使い方が可能だ。「2005年頃からほとんどの機種で特番を自動的に付加する機能を搭載していた」(中馬副部長)。