今月の初めに、全米広告主協会(Association of National Advertisers - ANA)から興味深いレポートが発表された。「The Rise of the In-House Agency(インハウス・エージェンシーの台頭)」と題されたそのレポートは、近年米国で広告主がインハウス・エージェンシーを活用する方向に進んでいる状況を記している。

 ここでいう「インハウス・エージェンシー」とは、いわゆる「ハウス・エージェンシー」と呼ばれる「親会社の広告宣伝活動をサポートするために子会社として存在する代理店」だけではなく「広告またはマーケティング・コミュニケーションを担う外部の代理店と同様の職務を担う部門やチーム、担当者」を含むようだ。

 日本の感覚で考えると「インハウス・エージェンシーの活用」とは、「内製化」という言葉に置き換えるとイメージしやすいだろう。レポートのタイトルである「インハウス・エージェンシーの台頭」も「内製化の加速」と考えた方がわかりやすい。

 ここ数年「内製化の加速」が進んだことにより、米国の広告代理店は生き残りを賭けた、非常にシビアな戦いを強いられている。2013年5月の調査では、56%の企業が雑誌関連の広告業務やソーシャルメディアに関連する施策、リスティング、およびディスプレイ広告業務、そして企業サイトにおけるSEO(検索エンジン最適化)業務などの取り扱いを「インハウス・エージェンシー」つまり「内製化」にシフトさせているとの結果が出た。2008年の同様の調査ではその割合が42%だったことを考えると、5年のうちに「内製化」が着々と進んでいったといってもいいだろう。

 実際に「内製化」が始まった業務は、雑誌関連の広告業務やソーシャルメディアに関連する施策、リスティング、ディスプレイ広告業務、そして企業サイトにおけるSEO業務とされている。企業(広告主)によるこれら業務への対応が増えている中で、これらをあえて「内製化」しようとする企業も増えているところが興味深い。日本の場合、これら業務が増えるほど、内部リソースの負担を軽減するために代理店などにアウトソーシングしていく流れが強まるケースが多い。