最後に、米インテルとフェイスブックが共同で開発を進めている、未来の「すごいデータセンター」を紹介しよう。
インテルは2013年1月に次世代ラックの開発でフェイスブックと提携した。インテルが目指す未来のラックについて、同社データセンター事業開発部シニア・スペシャリストの田口栄治氏は次のように説明する。「プロセッサやメモリー、ストレージなどが、『サーバー』という枠組みから分離され、ラックの中で自由に組み合わせられる『ディスアグリゲーテッドラック』が実現する」。
ディスアグリゲーテッドラックは、「垂直統合機」や「CiB(クラスター・イン・ザ・ボックス)」などと呼ばれている、ラック単位でサーバーやストレージ、ネットワーク機器を統合したハードウエアの発展形である(図1)。
現在のCiBでは、ラック内はイーサネットや、ポート単価が高い光回線の「InfiniBand」などで接続している。しかしインテルとフェイスブックは2014~15年をメドに、現在よりも安価な光回線でラック内を接続した「シリコンフォトニクス・ラック」を実現する計画だ。
「シリコンフォトニクス」とは、光通信の機能を半導体(シリコン)チップに内蔵することだ。現在はインテルや米IBMなどが開発を進めている。
これまでサーバーで光通信を利用するためには、高価な専用光コネクターなどを追加する必要があった。ところがシリコンフォトニクスによって、光通信の機能が半導体に内蔵されると、従来よりも低コストで光通信を利用できるようになる。シリコンフォトニクス・ラックでは、通信速度は100Gビット/秒以上に高速化する。現在のCiBのラック内通信速度は10ギガビット/秒程度なので、速度は10倍に向上する。
シリコンフォトニクス・ラックをさらに発展させたのが、ディスアグリゲーテッドラックだ。これまでは、サーバーの内と外の通信速度には差があったため、プロセッサやメモリーは同一サーバー内に搭載していた。しかし、ラック内通信が光化され、サーバー間の通信がサーバー内並みに高速化、低遅延化すれば、もはやプロセッサやメモリーを、サーバーの中に閉じ込めておく必要がなくなる。これが、ディスアグリゲート(分離)である。