第4回は、IFA 2013におけるPCの展示を振り返る。第2回で扱ったスマートフォン、第3回でのタブレットといったモバイルデバイスの盛り上がりに対し、PCの地位が相対的に低下したという論調が目立っている。そのため、PCが今後どのように巻き返していくか、出展各社のアプローチに注目が集まった(写真1)。
なお、タブレット型PCについては第3回で言及している。
第4世代CoreやWindows 8.1でPCの“反撃”は始まるか
2012年10月に発売されたWindows 8は、タッチ操作を大きく採り入れたことで話題となった。その背景には、スマートフォンやタブレットの普及があり、これらのモバイルデバイスは実際にPCの地位を代替しつつある。単に外に持ち出すという意味のモバイルに限らず、自宅でYouTubeを見るといったシーンでも、PCが置かれたデスクに向かうより、ソファに寝転んでタブレットを見るほうが楽だと感じる人が増えているのではないだろうか。
これに対し、Windows 8の発売と前後して登場したのが、タッチ操作に対応した新しい形状のPCだ。Windows 8以前、ほとんどのPCが単純なノート型かデスクトップ型だったことを考えれば、Windows 8の影響力の大きさが感じられる。これら新世代のPCは、今夏登場した第4世代Coreプロセッサから本格普及が期待されており(写真2)、まだまだ“反撃”は始まったばかりと考えてよいだろう。
その一方で、Windows 8を搭載した最新のタッチ対応PCに対し、不満の声も上がっている。「Windows 8で大きく変わったユーザーインタフェース(UI)が分かりづらい」という声や、「使いたいアプリがWindowsストアにない」といった声も少なくない。たとえハードウエアのタッチ対応が進んでも、肝心のソフトウエアが追いついていないのが現状といえる。
また、Windows 8はタッチ対応のUIを前面に出しすぎたことで、Windowsのデスクトップアプリを中心に利用する従来のPCユーザーから不評を買った面もある。タッチ操作の利点は認めつつも、当面の間はPCにタッチは不要と考えるユーザーも少なくないだろう。このようなタッチユーザーとデスクトップユーザーのすみ分けは、10月18日発売のWindows 8.1における主要な改善点のひとつでもある。
価格も気になるところだ。スマートフォンやタブレットに関する支出が増えていること、低価格で高品質のタブレットが増加したことも相まって、PCには一層の低価格化が求められる。しかし、単に安いPCを作るだけでは限界がある。スマートフォンやタブレットにはないPCならではの価値をどのように訴求していくかが、今後の課題といえる。