iPhone 5c/5sが当初から搭載し、18日から順次各国での公開が始まったiOSの新バージョンである「iOS 7」。そのデザイン上の特徴の一つが「フラットデザイン」である。従来のiOSは、そのアイコンデザインなどがリアルに存在する物のメタファーで構成されていたが、iOS 7ではシンプルさが際立つデザインとなった。

 この背景として、UX/UIの専門家であるコンセント 代表取締役/インフォメーションアーキテクトの長谷川敦士氏は「デジタル化が当たり前になり、既存のメタファーだけで表現するには無理が来ている」と述べる。長谷川氏、そして同じくコンセント 代表取締役/プロデューサーの上原 哲郎氏の二人にiOS 7で何が変わったのかを聞いた。


コンセント 代表取締役/インフォメーションアーキテクトの長谷川敦士氏(右)、同 代表取締役/プロデューサーの上原 哲郎氏
コンセント 代表取締役/インフォメーションアーキテクトの長谷川敦士氏(右)、同 代表取締役/プロデューサーの上原 哲郎氏

 まずiOS 7を“ぱっと”見たときのデザイン、従来のiOSとの違いは、一般的には「フラットデザインになった」と言われています。では「フラットデザインとは何か」ということですが、従来のiOSの場合、一つひとつのアイコンのデザインが例えば「写真」のアイコンは写実的なひまわりであり、「カレンダー」は実際の日めくりカレンダーのようなデザインになっています。「App Store」のアイコンにしても立体感があった。

iOS 7は“フラットデザイン風”
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 それがiOS 7になると、「写真」は抽象的な模様になり、「カメラ」は写実的なレンズのアイコンから平面なカメラアイコンに変わった。見た目のリッチさ、表面的なリッチさがなくなったものがフラットデザインと言われています。

なぜ「スキューモフィズム」から変わったのか

 もう少し正しく言うと、iOS 7のデザインは“フラットデザイン風”と言えます。ユーザーインタフェース(UI)の細かい話になりますが、「スキューモフィズム」という考え方があります。これは現実の比喩でUIを作るということ。例えば、UNIXでは「delete」とコマンドラインで入力すればいいところを、MacOSでは「ごみ箱」にファイルを“捨てる”といった操作をします。こうしたことも含んだ考え方です。

 現実の比喩でインタフェースを作るのがスキューモフィズムです。iOS 6まではアイコンのデザインや、アプリを立ち上げたりしたときのデザインとして、スキューモフィズムを重視していました。