コンピュータネットワークの世界的な教科書の最新版。物理層からアプリケーション層までレイヤーごとに体系的に解説されている。もともと分厚い教科書だったが、この第5版でますます重厚になった。トランスポート層の輻輳制御や、アプリケーション層のコンテンツ配信の技術などが大幅に改訂されている。

 表面的なことではなく、本当の基礎からネットワーク技術を学びたい人のための本である。見慣れたネットワークの仕組みを成り立たせているのは、非常によく考え抜かれた、数学的な考え方であることを感じ取れる。

 TCPの輻輳制御にしても、マルチメディアのストリーミングにしても、暗号にしても、土台にあるのはどうやら本物の数学であるようだ。筆者は自分にもなじみのJPEGやMPEGの解説を読みながら、「こんなにも面白い数学が使われていたのか」と目からウロコが落ちる思いがした。

コンピュータネットワーク 第5版

コンピュータネットワーク 第5版
アンドリュー・S・タネンバウム/デイビッド・J・ウェザロール 著
水野 忠則/相田 仁/東野 輝夫/太田 賢/西垣 正勝/渡辺 尚 訳
日経BP発行
8400円(税込)